興収ランキング2位の好スタートを切った『聲の形』。一部「尺不足」の声があるも、好評が多いネットの声をざっくり拾ってみた

1609_koe.jpgアニメ『聲の形』公式サイトより。

 全国120館での公開ながら初週末の興行収入は約2億8,000万円のランキング2位、さらに17~19日の3日間の興行収入は約4億1,000万円と、同日に公開となったスタジオジブリ最新作の『レッドタートル ある島の物語』が可哀相になるぐらいの好スタートを切った『聲の形』(原作:大今良時/講談社)。ネット上の反応を探ってみると、絶賛する声も多いが、批判する声もあるようなので、目立つ意見を拾いつつ、ざっくり紹介してみたい。

 まず目立つのは好調な興行収入が示すとおり、「目から汗がとまらんかった…」「青春ってええな。涙がとまらんかった」「映画館でミンナ泣いていた」といった賛辞の声。主人公・石田将也の小学生時代を演じた女優の松岡茉優を含め、「入野もはやみんもよかった」「はやみんすごかった」と、入野自由早見沙織などキャストの演技は好評であるし、美麗な京都アニメーションの作画、背景に言及する声も多かった。

 同じくらい目立つのが、「面白いんだけど……」という、大体満足なのだがちょっと気になる点もある、という声だ。ちなみに、この“……”に何が入るかというと「詰め込みすぎ」「できればTVアニメで見たかった」「好きなキャラの○○シーンがカットされていた」「ダイジェスト版だよな」などといった、要するに原作コミックのエピソードからすると、尺不足であるとする意見。

 原作コミックは単行本全7巻。原作にあった高校生時代の映画制作に臨むエピソードをバッサリ削るなど、本作ではかなりエピソードの取捨選択をシビアに行っている。ただそれでも1本の劇場アニメ=129分に収めるのは難しかったのか、原作コミックのファンにとってはあちこち物足りなく感じる部分があったようだ。だが、これはある程度、いたし方ないだろう。

 さて、批判的な意見に目を向けると、「なんで感動路線に持っていくのか」「全体的に薄味」「原作の胸糞悪い部分がカットされていたのが残念」という声が多かった。前述の尺不足も原因の一つになっているのだろうが、たしかに原作を読んでいて感じる胸糞悪い、ザラザラとした感触は大分薄まっていたと思うし、各キャラクターが抱えるテーマの多くは映画本編では解消されていない。主人公である将也とヒロイン・西宮硝子、2人にフォーカスするのは当たり前のことではあるのだが、しゃべって動く各キャラが予想以上に魅力的だったため、もっと見たかったという不満もあるのかもしれない。

『けいおん!』シリーズや『たまこまーけっと』シリーズで監督を務め続けてきただけあって、キャラクターの演出、特に女性キャラクターを魅力的に描く山田尚子監督(本人も可愛い)の手腕はさすが。

 全体の数から見れば少ないながら、ネットやSNS上でやたらと存在感を発揮していたのが、公開1週目に日本語字幕付き上映がなかったことに対する批判の声だ。ただ、映画公式サイトでは、公開2週目となる9月24日から30日にかけて全劇場にて1日1回、字幕付きの上映を実施。さらに30日以降の字幕上映に関しても、決定し次第お知らせします、となっている。クレジットでは協力に全日本ろうあ連盟、東京都聴覚障害者連盟、手話あいらんどといった団体が名を連ねているだけに、誠実に対応してくれることだろう。

 さらに数は少なくなるが、ほんの一部では今年流行った「感動ポルノ」という単語を使い、批判する声もあるにはあった。だがこれは、「別冊少年マガジン」(講談社)2011年2月号に、最初の『聲の形』が掲載されたときから、あちこちで繰り広げられてきた議論の重複になると思うので、ここでは触れない。ただ、そういうことを言い出す人が出てくるのも、それだけ人気が出ている、多くの人の目に触れたという証左なので、悪い傾向ではないだろう。

 なお、褒めるにしても批判するにしても、なぜか『君の名は。』と比較する意見がやたらと多かった。公開時期は近いし、登場キャラクターの年代も近いが、内包するテーマは全然違う気がするし、何より当の本人である新海誠監督もTwitter(@shinkaimakoto)で『聲の形』を「すごすぎ」と絶賛しているのに、なぜ周囲がヒートアップし、比較しあってしまうのか。不思議なものである。

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