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モノブライト出口博之の特撮自由帳(5)

モノブライト出口博之の特撮自由帳(5)語りつくせぬ『シン・ゴジラ』の魅力を、今語る!「俺なりのシン・ゴジラ評」を聞いてくれ!!

2016.09.15

特報映像より。

 言わずもがなですが、この恐怖感と不安感に支配される「映像体験」には、明らかに「東北沖大震災」における報道映像の影響があります。「未曾有の大災害をネタにするのは不謹慎だ!」というご意見も重々承知です。しかし、先の震災の経験があり、そこから日本の力を結集して復興していった「いかなる窮地でも日本は力強く立ち直れる」という共通認識がある訳で(未だ復興作業の真っただ中でもあるし、熊本震災も同様に支援の尽力は急務である)、その精神がきちんと『シン・ゴジラ』の中で言及されているからこそ、万人がゴジラに対する恐怖感を共感し、ラストには何かしらの希望が持てるエンターテインメント作品として成立する特撮映画になったのではないだろうか。

 安易な政治的ドラマでもプロパガンダでもない、見る人に「俺たち、私たちの生活と地続きな作品だ」と、上手く思わせたことが、『シン・ゴジラ』の未曾有の大ヒットに繋がっているのです。言葉は悪いかもしれませんが「上手い嘘のつきかた」のお手本のような作品。特撮作品の本懐は「無理なく無理な設定を映像に落とし込み、観客に新しい映像体験をさせる」ことにあります。私たちが目撃した『シン・ゴジラ』は、「私たちが生活している世界線に突如現れた人類を揺るがす大災害との邂逅」の物語、と言えます。

いかがだったでしょうか?

 まだまだ語り足りないですが、以上を「俺なりのシン・ゴジラ評」とさせていただきます。とは言え、考えれば考えるほど、『シン・ゴジラ』の懐の広さ、いや、業の深さを実感している次第です。特撮ファン、ゴジラファンとしては『シン・ゴジラ』という作品はこれから一年以上「ここが良かった!」、「俺はこう思った!」、「俺ならこうする!」と議論するのが、ゴジラをはじめすべての特撮作品に対する恩返しなんじゃないかと思います。だって、俺たちと同じ特撮好きの庵野監督が、文字通り心と身体を削って作った作品だから。

尾頭、かわいい

 本当にまだまだ書きたいことはあります。いずれ何かしらのカタチで『シン・ゴジラ』について語れる場所を作りたいと考えている次第であります。シリーズ動員が一億人とか、尾頭さん可愛いとか、最後の尻尾の意味とか、オマージュされた作品とか、『トップをねらえ!』(88年発売のOVA。庵野さんの最初の監督作)」と『シン・ゴジラ』の関係性とか、考察したい事がたくさんあります。とにかく、2016年にゴジラの最新作が見られるなんて、とんでなくうれしいことなんだな、という気持ちで「俺なりのシン・ゴジラ評」を締めさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。

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