「総選挙のせいでむしろ影薄くなっとる」スタジオジブリ総選挙1位は『千と千尋の神隠し』…でも本来の目的忘れてない?

2016.09.08

『スタジオジブリ総選挙』公式サイトより。

 スタジオジブリの新作長編映画『レッドタートル ある島の物語』の公開を記念して行われていた「スタジオジブリ総選挙」(記事参照)の最終結果が9月6日、ついに発表された。この結果を受け、「下馬評通りになったな!!」「大きなスクリーンで見られるなんて幸せすぎる!」「ほかの作品も見たかった~~!」などと、各所で大きな反響が上がっている。

「スタジオジブリ総選挙」の栄えある第1位を獲得したのは、宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠し』。第75回アカデミー賞で長編アニメ賞を受賞し、今なお日本国内の映画興行収入歴代1位の308億円という記録を持つ同作の1位獲得に、「さすが邦画興収歴代1位。貫禄あるわ」「私の中の第1位と一致して嬉しい。映画館で観終わった時、しばらく映画の中の世界から戻れず席を立てなかったくらい素晴らしい作品」「子供にこの映画を映画館で見せてあげられるっていうのが心底うれしい!!」と大盛り上がり。

 第1位を獲得した『千と千尋の神隠し』は9月10日から16日までの1週間、札幌シネマフロンティア、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、 TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ、TOHOシネマズ 梅田、TOHOシネマズ 天神で上映される。上映期間は1週間のみなので、『千と千尋の神隠し』ファンは、映画館で観たあの感動を再び味わう機会を逃さないよう、それぞれの映画館の公式サイトをきちんとチェックしておこう。

『千と千尋の神隠し』が素晴らしい作品なのはもちろんのことだが、他の作品に投票した人からは「ナウシカを大きいスクリーンで見てみたかったなぁ」「子供の頃映画館でもののけ姫を見て感じた衝撃を、自分の子供にも感じてほしかった」「俺はもう一度スクリーンでかっこいいポルコが見たかったんだ!!」と残念がる声も。

 中間発表で上位5作品にランクインした作品の中では、『千と千尋の神隠し』が2001年公開と一番新しいものになっており、残る作品は1984年の『風の谷のナウシカ』、86年『天空の城ラピュタ』、89年『魔女の宅急便』、97年『もののけ姫』というラインナップ。「もっと昔の作品を映画館で観たい!」という声も多く、「1~2年かけて全ての作品を上映するのはどう?」「ジブリ映画館とか作れば絶対行くのに。毎週違う作品上映しててほしい」「懐かしのジブリアニメ上映しますって感じの企画どうでしょうか」という提案の声が続々と上がっている。

 しかし、「スタジオジブリ総選挙」がこれだけの大盛り上がりを見せているにも関わらず、9月17日に公開される新作『レッドタートル ある島の物語』はびっくりするほど話題に上がらない。『レッドタートル ある島の物語』は、短編映画『岸辺のふたり』を見たスタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫と監督マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットの共作となっており、構想に10年、制作に8年をかけた超大作。全編セリフなしのアニメーションで作られており、制作作業はフランスで行われたという、フランス発のスタジオジブリ最新作だ。

 しかも、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で特別賞を受賞し、上映後には5分を超えるスタンディングオベーションが巻き起こるという実績まであるのに、なぜか話題になっていない現状には「話題性で総選挙に負けてるぞ~大丈夫か~」「やっぱりジブリは駿なのか…」「17日公開のレッドタートルを盛り上げるための総選挙のせいで、むしろ影薄くなっとるで…」と心配の声が。

 まだ公開されていないとはいえ、『シン・ゴジラ』、『君の名は。』とオタクにも一般人にも人気の映画が次々と登場する中で、『レッドタートル ある島の物語』が人口に膾炙されることはあまりなく、今回の「スタジオジブリ総選挙」も公開を盛り上げるために開始されたはずなのに、話題になっているのは過去の名作ばかり。しかし、いざ蓋を開けてみれば『レッドタートル ある島の物語』が『千と千尋の神隠し』を脅かすような作品ということも十分あり得る。カンヌ国際映画祭でスタンディングオベーションを巻き起こした実力に期待したい。

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