【実写映画レビュー】大衆が求めるのは“奇人”ではなく“常識人” 16年版『ゴーストバスターズ』を見て感じたヒーロー像の変化

1608_ghostbusters_.jpg映画『ゴーストバスターズ』公式サイトより。

 84年公開のハリウッド映画『ゴーストバスターズ』は、アラフォーオヤジにとって思い出の1本だ。冴えないオヤジ4人が、ニューヨークに現れた幽霊(ゴースト)を秘密兵器で退治するコメディタッチのストーリー。当時最新のVFXで描かれた幽霊は怖いというより愛らしく、主題歌の掛け声「ゴーストバスターズッ!」も最高にイカして(死語)いた。

 なにより、社会的にアウトローで冴えない面々の男たちが徐々に街のヒーローになっていくさまは、当時小学生だったアラフォーオヤジにとって、涙がちょちょぎれる(死語)ほどクールだった。よって2016年現在、飲みの席でうっかりアラフォーオヤジに『ゴーストバスターズ』の話なんぞ振ろうものなら、思い入れタップリの長話に付き合わされること必至。できれば避けたい面倒案件である。

 それほどの思い出ムービーならば、アラフォーオヤジとしては2016年版『ゴーストバスターズ』も観ないわけにいかない。本作は続編ではなく「リブート(再起動)」ゆえ、オヤジ4人のメンバーは、3、40代の女性チームに一新されたが、物語の舞台(NY)、登場メカなどはほぼ同じ。「主人公の俳優がコメディアン出身」「4人目に加わるメンバーが黒人」という点も、きっちり84年版の韻を踏んでいる。実に律儀だ。

 ストーリーはこんな感じである。素粒子物理学博士のエリン・ギルバートは、幽霊の実在について書いた著書の存在が勤務先の大学にバレて、クビになってしまう。それをきっかけに、かつての友人にして共著者であるアビー・イェーツ、ゴースト捕獲メカを開発するジリアン・ホルツマンとともに、幽霊退治を請け負う「ゴーストバスターズ」を起業。ここに地下鉄の駅職員であるパティ・トランも加わってゴースト退治を開始する。しかしその裏では、ある人物による恐ろしい計画が進行していた――。

 映画そのものは、コメディ映画として実にソツなくまとまっている。4人の女性によるテンポの良い会話は、英語が聞き取れずとも耳に快適。笑いを誘う絶妙な間や適度にお下劣な下ネタも、すこぶる愉快だ。メンバー全員が女性だからといって安易に恋愛ネタを絡めないプロットにも、好感が持てる。7、80年代映画ネタの応酬や、84年版キャスト陣のカメオ出演なども、アラフォーオヤジのウンチク欲をいい感じで刺激する。正しきリブートの形、安心の「想定の範囲内」だ。ただ一点を除いては。

 その一点とは、主人公がカリスマ的ヒーローではなくなったことだ。

ゴーストバスターズ 1

ゴーストバスターズ 1

アラフォーは心くすぐられる!?

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