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モノブライト出口博之の特撮自由帳(4)

モノブライト出口博之の特撮自由帳(4)レオパルドン、チェンジロボ、シンケンオー……各年代を彩る特撮おもちゃをイジリ倒します!

2016.08.21

シンケンオー合体前。ここから動物状態になり、さらに合体する

■文字からロボットへ、パズル合体の最高峰
 90年代にアニメ的要素を取り入れ世界観の拡張に成功したスーパー戦隊シリーズは、2000年代前半にロボットというジャンルにおいてその地位を確立させます。言い換えると、影響関係にあった合体するロボットアニメ作品が少なくなり、スーパー戦隊ロボットが独走状態に入った、ということです。90年代に蓄積された乗り物ではないロボットの変形と、単純ながら予想もつかない合体機構のノウハウは、『侍戦隊シンケンジャー』(09)のシンケンオーに集約されます。

 通常、合体前の単体ロボットは「単体形態」と「合体時形態」のふたつなのですが、このシンケンオーは合体前のエンブレム状態から、動物形態になり、シンケンオーに合体する体のパーツと、3段階に分かれています。
 特にエンブレム状態から動物形態になる変形は単体のおもちゃとしても完成度が高く、バンダイが得意とする変形玩具(タマゴラスやもじバケる等)のノウハウがふんだんに取り入れられており単体ロボットがただ単に合体のためのパーツではなく、ひとつのロボットしての存在感を獲得しています。

 実際に変形合体を試みる出口、有田氏両名。変形機構の面白さに感嘆しながらも完璧な合体には至らず。五十嵐先生の助言によりようやく完成にこぎつける。

有田 シンケンオーの好きな部分、腰のくびれなんですよ。
五十嵐 ギリギリのデザインなんですけどね。腰と太ももが同じラインだけど、格好良さがあるのはデザインの妙。

 今現在のロボットは概ねガンダム的なバランスの格好良さが基準になっているのに対し、スーパー戦隊シリーズのロボットはその基準を一切排した独自の格好良さを追求したものになっているのが非常に興味深い点です。シンケンオーはスーパー戦隊ロボットのひとつの到達点、と言っても過言ではないでしょう。

■シリーズ最新作にしてシリーズ最大のチャレンジ精神が盛り込まれたロボット 
 現在放送中の『動物戦隊ジュウオウジャー』は、シリーズ第40作であり、秋に通算放送回数が2000回を迎える記念碑的な位置づけの作品です。動物モチーフという王道の設定はメモリアルイヤーとしては納得の選定ですが、ロボットであるジュウオウキングに関してはこれまでみたこともないまったく新しい概念の合体機構が登場します。四角いキューブ状のメカ(ジュウオウキューブ)が動物形態になる、ここまではシンケンオーと同じですが、合体のための変形が排されているので単体では体のパーツになれないのです。その新しい合体機構とは、キューブ形態に戻った3体のジュウオウキューブが縦に積み重なり、キューブの中心をビッグキングソードを上から刺すとスプリングが仕込まれた腕部が展開し合体が完了する、というものです。これまで見られた時間をかけて解くパズル的な要素は少なく、逆に一瞬で腕部が展開する「瞬間的な変形」の面白さと生理的な気持ちよさがあります。

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