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モノブライト出口博之の特撮自由帳(4)

モノブライト出口博之の特撮自由帳(4)レオパルドン、チェンジロボ、シンケンオー……各年代を彩る特撮おもちゃをイジリ倒します!

2016.08.21

■海外展開も視野に入れた90年代無敵のロボット 

無敵将軍合体前の5体はこんな感じ

 80年代までのロボットは作品の世界観とはある意味では隔絶された存在として、あくまで「ロボット」としての役割を持っていました。前述の『チェンジマン』は、作品の世界観が軍隊なので登場する乗り物との親和性は高いですが、例えばシリーズ初の5台合体ロボットのグレートファイブは、合体前は乗り物は戦闘機やヘリ、戦車。マスクマンの世界観(モチーフは拳法、第六感的な気の力)を見ると、その乗り物である必要性が薄い、という点があげられます。
 90年代に入りシリーズの世界観がファンタジー寄りに、いうなればアニメ寄りにシフトしていき、ロボットに合体する乗り物も戦闘に特化したものとは限らず、幅広いモチーフが取り入れられ誰がどのメカに乗っているかわかりやすくなっています。

五十嵐 70年代は『スター・ウォーズ』、80年代には『機動戦士ガンダム』などのリアルロボットブームの影響を受けて、実写作品もリアル志向になるという関係性がありましたが、90年代は巨大ロボットアニメが下火になっていた時代。バンダイさんがスポンサーのアニメも『NG騎士ラムネ&40』や『疾風!アイアンリーガー』『ヤマトタケル』『覇王大系リューナイト』など、ちょっとひねったロボット作品が多かった時期ですね。そして、スーパー戦隊シリーズも10年以上続いてきたので、新しいものをいれようとする流れがありました。

 90年代を代表するロボットアニメと言えば『太陽の勇者ファイバード』をはじめとする「勇者シリーズ」があり、このシリーズでは車や飛行機をモチーフとするいわゆる正統派ロボット作品だったこともあり、その影響でスーパー戦隊シリーズではこれらのモチーフを外した新しいロボット像を模索するフェーズに入ります。

 スーパー戦隊シリーズの海外シリーズ『パワーレンジャー』(93~)の展開に合わせて、忍者モチーフとお城を基本デザインにしたロボットが採用された作品が『忍者戦隊カクレンジャー』(94)なのですが、無敵将軍は安易な海外向けの変化球ではなく、ロボットの本懐とおもちゃとしての面白さを兼ね備えた画期的なロボットなのです。

 獣将と呼ばれる5体の人型ロボットが合体し無敵将軍になるのですが、その合体プロセスは作品を知らないと合体させることができない難解なパズルに近い合体機構を持っていて、合体前と合体後がまったく違う形になる変形機構は圧巻の一言。何よりシリーズ初の「5体の人型ロボットの合体」であることも見逃せません。

 兵器然としたミリタリー寄りなロボットではなく、ひとつのキャラクターとして成り立っているロボットであり、その根底にはこれまでの基本となっているスーパー戦隊シリーズのロボット像の拡大を目標においたチャレンジ精神がある、というのが90年代スーパー戦隊シリーズのロボットなのです。

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