マイノリティーは排除せよという考えは本当に豊かな社会を招くのか? 異能者たちの果てしなき闘い『X-MEN』

1608_xmen_ap01.jpgX-MENを率いるプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)。この頃はまだ髪がふさふさしています。

『X-MEN』といえば、様々な特殊能力を持つミュータントたちが活躍する人気SFアクションシリーズ。『デッドプール』(16年)などの数多くのスピンオフ作品を派生させているが、基本的な流れはミュータントと人類との共存を目指すプロフェッサーXたち穏健派、ミュータントを迫害する人類を支配下に置こうとするマグニートーを中心にした過激派に分かれての抗争劇となっている。原作は1963年に始まったアメコミで、60年代に盛り上がった公民権運動の指導者・キング牧師がプロフェッサーX、マルコムXがマグニートーのモデルとなっている。言い換えれば、『X-MEN』シリーズは社会から抑圧されてきたマイノリティーが自分たちの居場所を求めてさまよい、イニシアチブをめぐって争うという現代社会を投影した物語でもある。最新作『X-MEN アポカリプス』では、人類によって虐待され続けてきたミュータントたちが人類滅亡の危機に立ち上がることになる。

 前作『X-MEN:フューチャー&パスト』(14年)は73年にウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)がタイムトラベルし、まだ髪の毛がふさふさしていた頃のプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)たちと共にミュータントにとっての黒歴史を塗り変えるというお話。常に争い続けたマグニートー(マイケル・ファスベンダー)とも休戦を果たした。それから10年、プロフェッサーXが設立した「恵まれし子らの学園」に、サイクロップス(タイ・シェリダン)ら若いミュータントたちが集まり、しばし平和な日々が訪れるというのが今回の序盤。マグニートーも北欧の鉄工所で地道に働きながら、愛する妻と娘との幸せな家庭を築いていた。

1608_xmen_ap02.jpg古代エジプトから蘇った最強ミュータントのアポカリプス(オスカー・アイザック)。X-MENが束になっても敵わない。

 ささやかな幸福に満足していたマグニートーだったが、鉄工所で働く同僚が溶鉱炉に落ちそうになった瞬間、思わず隠していた能力を発揮。たちまち噂が広まり、マグニートー一家は魔女狩りの標的となってしまう。子どもの頃にアウシュビッツ収容所で家族と引き離された辛い記憶を持つマグニートーは、もはや人間のことが信じられない。そこへ現われたのが“神”を自称するミュータント第1号のアポカリプス(オスカー・アイザック)。愚かな人類は滅亡させるから、お前も手伝えと誘う。かくしてマグニートーは、サイロック、ストーム、エンジェルと共にアポカリプスに従う“黙示録の四騎士”となり、地上に災いを降り注ぐことになる。

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