女の子は化ける!
リアルで引きこもっていなければ、二十歳も過ぎればわかると思うけれど、だいたいの女の子は化粧で化けるものです。最近では、ニコニコ生放送ですっぴんからメイクへの化けかたを晒す女子なんかも登場して、あまねく世代がふんわりと知っている情報になったけど、ホントに女子は化粧でガラリと変わるんですよね。
でもねえ、化粧ってホントに大変です。女子にも個人差があって、だいたいは30分とか結構な時間をかけて外に出られる顔に仕上げていきますよね。ところが、中には「だいたい毎朝の化粧は5分くらい」って女子もいるんですよ。リアルでそーゆー人に出会ったことがあるんですが、結構な美人。いったいどんな神業を使っているのか、驚きました。
ともあれ、化粧は大変です。なにより、不器用な女子は右と左の眉の形が違ったりするんですから。リアルで電車の向かいの座席に座っている女子を見てみて下さい。「あ、コイツは化粧が下手だな」というのを見つけることができるはずです。
永椎晃平『星野、目をつぶって。』(講談社)は、そんな化粧を軸として始まる物語なんです。
主人公・小早川はいつも休み時間には寝ている美術部員。クラスメイトにも、ロクに名前を覚えてもらっていないレベルの陰気な男です。クラスで仲良く騒いでいる男女を「アイツらバカだと思っている」と言い放つ、厨二病因子も混じっている、困った少年なのです。
でも、放課後の美術部の活動だけは熱心。おまけに、美術部の顧問・弓削先生は超絶奈美人なのです。
でも放課後が充実しているかと思いきや、やっぱりぼっちで筆を振るっているだけなんです。
そんな小早川がもっとも苦手なタイプが、クラスのイケてるグループのリーダー・星野海咲。肉食系なギャルの星野は、小早川にとってはもっとも縁がないタイプだったのです。
ところが、ある放課後。川に流されている猫を助けようとしたのが縁で、小早川は星野の秘密を知ってしまいます。水に濡れて、メイクの落ちた星野の顔は超絶地味だったのです。
いやいや、だいたいそんなもんですよ! だって、すっぴんが美人だったら化粧映えさせるのが大変ですよ! と、思うんですが、これは星野にとっては重大な秘密なのです。
そして、明らかになったのは星野が超絶化粧が下手だということ。実は、毎日幼なじみのお姉ちゃんでもある弓削先生にメイクをしてもらっていたのです。
ここで読者が抱くであろう感想を小早川は叫びます。
「オシャレじゃないとダメ! 可愛くないとダメ! バカか!」
でも、星野はあくまで「この生き方を変える気はないから」というのです。
その決意に飲まれたのか、小早川は星野にメイクをすることになるのです。
でも、事件のたびに地味顔が発覚してしまいそうになる星野。それを通じて2人は、次第に理解し合う仲になっていくのであります。
作者の絵の巧みさでしょうか。地味顔の星野はまた違った魅力もあります。小早川は本能的に、それに気づいていたりします。さすがは美術部員というべきか……。
男子の知らない女の子の化粧なるものが、よくわかる作品。久しぶりにキュンキュンくるラブコメですな。
(文=大居候)
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