作者の貧乏性も魅力の一つか? くりもとぴんこ『野獣先生のメイドさん』

 webコミック誌『ヤングエースUP』にて隔週連載されている、くりもとぴんこ『野獣先生のメイドさん』(角川書店)が単行本になりました。

 本格的な連載は、この作品が初めてのくりもと氏。これからが期待される萌え系四コママンガ描きの一人です。期待しているポイントは、くりもと氏のTwitterでの一文です。というのも7月21日のツイートの中に、次のようなのが。

<ネーム用紙はいらない紙の裏使ってる貧乏性なんですけどそろそろなくなるからって適当な紙出してきたら既に裏にネームが描いてあった…しかも高校生くらいのときのやつ…ヒィィ!>

 いやいや、貧乏性だなんて。なんか、くりもと氏のいい人感が伝わってくるようであります。

 さて、この作品は女子高生の小森みみ子が極道の息子とかなんとかウワサされる、コワイ見た目のクラスメイト・大神有人のお屋敷でメイドのアルバイトをすることから始まるラブコメであります。

 実は大神は、顔がコワイだけ。顔についてる傷も猫を助けようとしてつけたものなのです。そんな大神は高校生にして売れっ子の小説家。しかも、もともとお金持ちの息子らしく、豪華なお屋敷に暮らしているのです。

 でも、一つだけ問題がありました。同級生でもあるイケメン執事は、超絶なメシマズだったのです……。

 そこへ、バイト先が潰れて困っていた、みみ子が登場したことで物語は動き出すわけです。とはいえ、物語はほんわかラブコメなのに、みみ子の境遇がちょっとヤバい。お父さんの残した借金を返しつつ母ひとり、子ひとりで頑張っているようなのですが、みみ子から「お母さん風邪引いて出勤日が少ないから」という台詞が。なんか、非正規雇用とか、昨今の社会問題がいきなり……。

 おそらくは大変な境遇なのに、まっすぐ育っている、みみ子の姿に冒頭から早くも感動を覚える読者は多いはずです。

 さまざまな、ちょっと世間の常識からズレたキャラクターが登場する本作ですが、とにかく、みみ子の純真な可愛さに読者は刮目すべきです。なにせ、不器用な大神に褒められるたびに「頑張れる」って涙してくれるんです。もともと、料理も掃除も完璧なメイド属性の高い、みみ子ですが、このバイトを超えた献身っぷりがたまりません! まあ、バイト代が相場の3倍ってことになってるから、献身するのも当たり前のような気がしないでもありませんけど。

 一応「ラブコメ」となってはいる物語ですが、その要素はあんまり強くありません。あくまで、ライトタッチなコメディとして描いているところに、本作の魅力があるのではないでしょうか。
(文=大居候)

※公開当初、タイトルに間違いがありましたので、修正させていただきました。ご迷惑をお掛けした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。

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