■人間とロボットが協力して働く未来
往年のSF作家、アイザック・アシモフが提唱した“ロボット三原則”の第一の命題が「人間に危害を及ぼさない」ことであるように、ロボット開発において安全性はなによりも優先されている。そしてこのフォードに限らず、各方面で“安全なロボット”の開発が進んでいるようだ。
ドイツのマックス・プランク研究所では、人間と一緒に作業ができるロボット開発において、伸縮性のあるソフトな駆動装置である誘電性エラストマーアクチュエータ(dielectric elastomer actuator)の開発に余念がない。電動モーターのように重くかさばる駆動装置ではなく、空気圧で作動する柔らかい素材の駆動装置を開発することで、文字通り人に優しいロボットが実現するのだ。
一方、マサチューセッツ工科大学(MIT)では、人間と共に働くロボット開発のカギとなるAIの機能として「クロストレーニング(cross-training)」技術の研究を進めている。クロストレーニングとは、“バディ”を組んだ共同作業のどちら側の作業もできるようにすることで、相手の動きを予測して安全性と効率性を高める技術だ。また、どちらの側の作業にも習熟するので、バディを組み替えた場合でもすぐに適応できる。
アイザック・アシモフの時代から、そもそも人はロボットを“こき使う”ために開発を試みてきたのだが、今日の人工知能の急激な進化は、ひょっとするとロボットに人間が“使われる”ことになるかもしれないという恐ろしい未来を予感させるものにもなっている。しかし、決して労働者とロボットは敵対するものではなく、こうして一緒に協力しあいながら働く道が拓かれてきてもいる。日常生活のみならず、今後は仕事場でもロボットとつきあう機会がますます増えそうである。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・Ford
https://media.ford.com/content/fordmedia/fna/us/en/news/2016/07/14/car-workers-buddy-up-with-robots–man-and-machine-work-hand-in-h.html
・Gizmag
http://www.gizmag.com/ford-human-robot-collaboration-cobot/44367/
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