今夏も吹き荒れる有名人の声優起用、原因は「人気声優が忙しすぎるから」!?　声優と俳優の境界線とは…

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　こうなってくると声優と俳優の違いというのが曖昧になっているように思えるが、声優として30年以上のキャリアを持ち、実写映画にも出演経験のある山ちゃんこと山寺宏一は、俳優と一緒に声の仕事をした際、共演した俳優が声優の仕事を難しいと嘆くことが多いと語り、その仕事の難しさの違いを分析している。声優の仕事は「アニメーションの口の動きを見ながら感情をのせなければならず、どこか客観的でなければできない。そこが難しいんだと思う」と語り、俳優は「ここまで歩いてセリフを言うなど、制約が多いところに感情を表す。僕にしたらこっちの方が戸惑いを感じる」という含蓄あるコメントをしている。

　また、今月9日に早稲田大学で是枝裕和監督と対談した細田守監督は、本業の声優を使わず俳優を選ぶ理由について、「プロの声優さんは技術があるためセリフを別々に録ることができるが、そうすると相手の芝居を受けられず、どうしてもバランスが悪くなる。セリフは同時に録らないとダメ」とのこだわりを語ったうえで「そうすると、人気の声優さんはスケジュールを押さえるのが難しい」「細田が声優をバカにしてるという人がいるけど、声優さんたちのスケジュールがいっぱいで使えない」とボヤキつつ、「力のある声優さんはスケジュールを無理に空けてくれる。だから実はもったいないとも思ってて、声優さんが映画のためにスケジュールを開けてもらえるようになったら、やってもらえる人もいると思う」と胸の内を明かした。

　売れっ子の俳優や芸能人と声優、どちらがスケジュールを抑えづらいのか。実際キャスティングする立場にでもなってみないと、その差は判別しづらいが、どんな長編アニメ映画でもアフレコであれば、映画やドラマの撮影と違って何週間も何カ月も拘束されるようなことはない。せいぜいが数日間といったところなので、アニメファンとしてはやっぱり人気声優に頑張って欲しいし、起用して欲しいというのが本音ではないだろうか。

　アニメやゲームの声の仕事に加えて、ラジオやイベント出演、歌にダンスと、最近の声優に求められる仕事の幅が広がっているのは百も承知だが、山ちゃんのように舞台やTVに進出して知名度を上げて、長編映画でも主役級をバンバン掻っさらうような人気声優が複数人出現してくれれば、アニメファンが嘆くようなことも減るのではないだろうか。実力ある声優のさらなる活躍と、演技の上手下手を無視した、あまりにムチャな有名人の声優起用の減少に期待したい。

 
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