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モノブライト出口博之の特撮自由帳(3)

モノブライト出口博之の特撮自由帳(3)祝・ライダー45周年! 記念イヤーに熱く展開した『仮面ライダーアマゾンズ』が描いた“正義対正義”とは!?

2016.07.13

『仮面ライダーアマゾン』DVDジャケット

 ちなみに、アマゾンが乗るバイク「ジャングラー」はおやっさんこと「立花藤兵衛」が夜なべして一人で制作し、エンジン音が嫌いなアマゾンのためにわざわざ手押しでアマゾンへ届けます。晩ご飯を作ったかのような「おーい!できたぞー!」という言葉の横に規格外に巨大な尾翼がついた改造バイク。おやっさんの凄さを実感できる瞬間です。そういった意味では、第4話は見所が非常に多いので是非ご視聴をおすすめします。

 こうやってみると、仮面ライダー(いわゆる最初の仮面ライダーから受け継がれる昭和ライダーシリーズのライン)に準拠したものなので、異色作どころか完全に正統派な作品になります。

『仮面ライダーアマゾン』が異色作と言われる理由は、明らかに異形の改造人間であること、人間でありながら人間ではないのと同時に「日本人でありながら日本人ではない」という、コミュニティーに属せない孤独な存在であることです。

 本郷猛は自らを改造した悪の秘密結社ショッカーを打ち砕くため死地に赴きます。戦いに特化し、戦うために生きる。これが『仮面ライダー』がヒーロー足りえる点と言えるのですが、アマゾンは「精一杯生きること」に終始します。戦いに身を投じながら、生きるために戦っているのです。スマートな必殺技を使わずに噛みつきや引っ掻き、腕のヒレで相手を切り裂く大切断などのフィジカルなバトルスタイルは、もがき苦しみながらも必死に生きようとする現れなのかも知れませんし、おやっさんやまさひこくんたち、敵から離反したモグラ獣人との交流も、人は一人では生きられないからです。

 戦うために生きること。生きるために戦うこと。同じ言葉を使っていますが、その目的意識はまるで変わってきます。仮面ライダーアマゾンが異色作とされる本懐は、生きることの物語であることなのです。

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