モノブライト出口博之の特撮自由帳(3)

モノブライト出口博之の特撮自由帳(3)祝・ライダー45周年! 記念イヤーに熱く展開した『仮面ライダーアマゾンズ』が描いた“正義対正義”とは!?

2016.07.13

 東映が仮面ライダー生誕45周年にあたる今年を「スーパーヒーローイヤー」と位置づけ、その一環としてシリーズの中でも現在も異色作とされる『仮面ライダーアマゾン』を原典に制作されることで話題となった『仮面ライダーアマゾンズ』。4月1日の開始から、特撮ファンはもとより、映画ファンやホラーファンの熱狂的な支持を受けつつ6月24日の第13話をもって完結しました。タイトルのアマゾンズにかけたAmazonプライム・ビデオのみの配信という、半分冗談のような座組からは想像もできない「生きるための所業」と「命とはなにか」をテーマに、ハードなバイオレンスアクションで視聴者を魅了。私も近年の仮面ライダーシリーズでは見られないリアルで痛々しいシーンの連続に魅了され、アマゾン細胞の覚醒を覚えた一人です。 
 今回は『仮面ライダーアマゾンズ』第一シーズン完結ということで、「アマゾンズが伝えたかったこと」についてを考察してみたいと思います。

『仮面ライダーアマゾンズ』公式サイトより。

・アマゾンの異色性は何なのか

 今作『仮面ライダーアマゾンズ』の原典になっている『仮面ライダーアマゾン』は、1974年に放送されました。現在も異色作とされる理由として、一見すると悪役に見紛うサイケデリックな配色のボディに、噛みつきや引っ掻きを主とするフィジカル頼りなバトルスタイル、そして何よりアマゾンに変身する主人公・山本大介の生い立ちとアマゾンになる経緯にあると思います。

 デザイン面では現在の仮面ライダーの多様な意匠(平成シリーズはパーツ点数が多いメカニカルな意匠が特徴)からすると特に派手さが目立つ訳ではありませんが、生物感に溢れ「直接的に痛みが理解できる攻撃」を想像させることができるのはアマゾンの特徴です。

 次にアマゾン・山本大介の生い立ちについて。彼は生まれて間もない頃、両親と共にアマゾンで遭難しそのまま自分が日本人であることを知らずに野生児として育ちます。古代インカ帝国の秘宝「ギギの腕輪」を移植され仮面ライダーアマゾンに改造された山本大介は、死んだ父の友人・高坂教授に会うために故郷である日本にやってきますが、ジャングル暮らしのため日本語が喋れません。

 その上、発達した文明に慣れておらず仮面ライダーの象徴と言えるバイクを毛嫌いし、エンジン音を聞くと逃げ出してしまいす。バイク嫌いについてはアマゾンの数少ない友人・まさひこがゲドンにさらわれたのを助けるため、意を決しバイクにまたがります。誰かを想う心の優しさと、卑劣な悪への怒りが現れた「アマゾンがヒーローになる瞬間」です。

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