『ジグソークーソー 空想地図研究会』(高枡ナヲキ) 街を歩きたくなる「地図マンガ」 

 これで、また街歩きは楽しくなる。

 街歩きや食レポ的なマンガは、わんさかと溢れて食傷気味。そんなときには、こんなマンガもいかがでしょうか?

 高枡ナヲキ『ジグソークーソー 空想地図研究会(1)』(幻冬舎)は、地図を土台に地理ネタでワクワクさせてくれる作品なのです。

 世の中には、地図を眺めていろいろと妄想する人がいます。ここの町の境界線は、なぜこういう風に敷かれているのか。この道路は、どうしてこのような形になっているのか。地図を眺めると、さまざまな土地の歴史が見えてくるでしょう。

 そんな空想で楽しんじゃうことを啓蒙するのが、この作品の意図なのです。

 生徒会の1年生筆頭(なんで、こんな役職名?)・杜子ダイチのところに、新サークルの申請にやってきたのは、同じ1年生の塔元チリエ。高身長かつ巨乳というパーフェクトなボディと、やたらハイテンションな性格の彼女が申請したのは「空想地図研究会」。すなわち、地図を使ってさまざまなことを空想し、調べて楽しもうというサークルなのです。

 出会っていきなり、ダイチの子どもの頃のかすかな記憶をチリエと共に解決するという形で、読者には地図の面白さが啓蒙されていきます。

 どういう風に面白さを啓蒙していくのか。例えば、地図を見ながら旧海岸線はどこか。すなわち、埋め立て地と元の土地との違いを推理していったりするのです。埋め立て地は、区画が整理されているから。さらには、町名や川の形などから、海岸線の微妙なラインを探っていったりするのです。

 それのなにが面白いのか?

 これを、チリエは「人の営みがわかる」と語ります。まさにその通り、人類が文明を営むようになってからのすべてが、地図には凝縮されているのですね。

 登場するのは、そんな地図ネタばかりではありません。道を説明する時の「まっすぐ」という表現の意味もネタとして登場します。世の中には「どこそこの道をまっすぐ進む」と教えられても、道に迷う人がいます。とりわけ、地図を見ないタイプの人は、道を迷いがちです。

 その理由は、ごくごく単純。頭の中では「まっすぐ」と認識していても、実際の道は、曲がっていたり枝分かれしています。そのため、自分はまっすぐ進んでいるつもりなのに、道に迷ってしまうのです。

 要は「ちゃんと地図を見ようよ」という、ただそれだけのこと。それだけのことができない人が世の中には、多いというわけですよね。

 こんな感じに、街を歩くときに地図を見て、更なる楽しみが広がることを教えてくれる作品。読了後には、どこかに出かけたくなる作品でしょう。

 ただ、一つ謎が。表紙イラストでも描かれていますがチリエの頭についている白いヤツは、何?
(文=大居候)

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