『結婚指輪物語』普通のRPGじゃない!? 新婚カップルのもどかしい恋愛模様を描く、異世界新ファンタジー

 幼い頃に出会い、そのまま何の発展もないまま“幼なじみ”としての地位を揺るがせることができなかったサトウとヒメ。そんな普通のもどかしい男女の関係から描かれる『結婚指輪物語』(作:めいびい/スクウェア・エニックス)だが、実はこれは壮大な異世界ファンタジーである。前作の『黄昏乙女×アムネジア』(スクウェア・エニックス)でも、学校の怪談や幽霊というファンタジックなテーマを軸に、軽快ながらシリアスでもある物語が人気を博し、アニメ化も果たした。そして今回の『結婚指輪物語』では、現代社会を抜け出し、異世界のお姫様であるヒメがサトウを勇者にしてしまうことになる。

“勇者”と言えば聞こえがいいが、『結婚指輪物語』はドラゴンをやっつけておしまいとか、さらわれたお姫様を救って大団円とかいう、そんな普通のRPGのような物語ではない。実はヒメが昔から大事に持っていた一対の指輪は、文字通り“結婚指輪”であり、それをサトウにはめさせてキスをすることで“夫婦”になってしまう。国民からは“指輪王”と呼ばれて歓迎されるが、実は指輪はヒメが持っていた“光の指輪”以外にもあと4つ存在するらしい。そしてサトウはその指輪を持つお姫様を探し出し、その指輪を得なければならないのだ。「そんなの重婚になるじゃん!」というサトウの言葉にも、「指輪王とはそんなもの」とサラッと言われてしまう。サトウのことが好きなのに意地を張ってしまうヒメは告白もできず、サトウとともに指輪を持つお姫様を探す旅に出発するが……。

 サトウはヒメが好きだから、後先考えずに異世界まで追いかけてきた。ヒメはサトウが好きだから、他人に決められたどこかの知らない王子様との結婚を拒んでサトウに指輪を渡した。それだけで十分気持ちは伝わるはずなのに、不器用な2人を見ているとヤキモキしてしまう。その挙句に、サトウは「閉じこもりの姫君」と呼ばれる風の国のお姫様・ネフリティスからも愛されるハメになってしまい、ヒメは気が気でない。サトウが勇者としての力を存分に発揮するには、指輪を持つお姫様とのキスが必要なのだが、もちろんヒメが平然としていられるわけもないだろう。夫婦なのにそれらしい営みもできない若い2人のコメディタッチの演出が、同じベッドで眠ったり、一緒にお風呂に入ったり、キスをしたりという露出シーンを明るくしている。そして最初にヒメと結婚するはずだったマルス王子は、なにげにサトウの味方になり、旅にも同行して、剣の稽古までつけてくれる良い人なのである。

 1巻に1人のペースで新しいお姫様に出会うサトウたち。現在は3巻まで発行されているため、3人のお姫様と遭遇済みだが、3人目は戦い好きなワイルド系猫耳お姫様。強い男が好きという彼女は、最終的にサトウに完敗して指輪を渡し、濃厚なキスで歓迎する。褐色の肌に猫耳というのは、また違った“萌え”があるものだ。そしてこの3人のお姫様に共通するのは、みんな巨乳であるということ! サトウはよりどりみどりではあるが、誰よりヒメのことが好きだから、初めての相手はヒメでなければならないと考えている。しかしなかなかその一線を越えられない2人は、いつになったら本当の夫婦になれるのか?! そして今後どんなお姫様に出会っていくのだろうか? さらに最大の謎の敵・深淵の王とは何なのか? お色気あり、コメディあり、バトルありの異世界ファンタジー作品『結婚指輪物語』は、まだまだ話題が尽きそうにない。
(文/桜木尚矢)

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