“ゲーム輸出大国”イギリスのEU離脱で業界大混乱!? 深刻な人材不足を懸念する声も……？

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●Tammeka GamesのVR開発者、サム・ワッツ氏
「SteamとOculusはドル決済なので、その点だけはポンド安で有利になるが、そのぶん優秀な人材を確保するのが難しくなる。イギリスのVRゲーム専門のスタートアップデベロッパーとしては、米西海岸のデベロッパーよりも注目されなくなるかもしれない。EU離脱は状況を悪くするだけだ」

※Tammeka Gamesはイギリスのインディーズデベロッパー。代表作にVRレースゲーム『Radial-G : Racing Revolved』など。

●Questionable Qualityの経営責任者、マット・ノーマン氏
「残念なことは世界中の有能な人材と我々の間に障壁が築かれてしまうことだ。…（中略）…望みたいのは、短期間でもよいから経済刺激策でゲーム業界に優先して投資を集め、国内の開発者の育成のための助力を得たい」

※Questionable Qualityはイギリス・プリマスを拠点とするスタートアップデベロッパー。

　あまり心配していないという声から、深刻な人材難に陥るという悲鳴(!?)まで、いろいろな見解があるようだ。EU諸国出身のゲーム開発者が今後イギリス国内で仕事を続けることが、以前よりも簡単にいかなくなるのは確かだと思われる。

■ゲーム業界団体もEU離脱に危惧

　イギリスに拠点を置くパブリッシャーやデベロッパーが多数加盟するゲーム業界団体「UKIE」は、EU残留の立場であったが、国民投票はまさかのEU離脱派の勝利を迎え危機感を募らせているようだ。

「この決定と政治的不透明感が我々のビジネスに影響を及ぼすことは確実ですが、我々はこの業界においてすでに世界的成功を収めており、デジタル経済の輸出を主導する存在であることを忘れるべきではないでしょう。UKIEは今後も、ベストなビジネス環境を維持するために政府と協力し、ことの推移を見守りながら会員企業に助言を発信していきます」（UKIE代表：ジョー・ツイスト氏）

　その一方、『Sniper Elite』シリーズを手がけ、マンガ誌「2000 AD」の著作権を保有しているイギリスのデベロッパーRebellionは、EU離脱が英国のゲーム業界にさほど大きな影響を与えないと楽観視している。

「イギリスのビデオゲーム開発部門は、世界中にコンテンツを販売することに注力した輸出産業分野です。我々の業界には高度な技術を有するスタッフや、増え続けてきたクリエイティブな才能、そして30年に及ぶ成功の遺産があります。ビジネスにとって政情不安は歓迎できるものではありませんが、イギリスのビデオゲーム業界はこれからも力強い回復力をみせて競争力を保ち続けるでしょう」（Rebellion社CEO：ジェイソン・キングスレイ氏）

　UKIEと並ぶイギリスのゲーム業界団体「TIGA」によれば、3万人もの人員を抱えるイギリスのビデオゲーム業界は、国内デベロッパーの95％が輸出に特化した経営方針で運営されているという。実はイギリス国内のビデオゲーム産業は、他の産業にも増して“グローバル化”が進んでいた分野だったのだ。であればこそ、今後のEU離脱が“ゲーム輸出大国”イギリスのビデオゲーム産業に与える影響は決して小さくないのではないだろうか。ともあれ今後の推移に注目したい。
（文／仲田しんじ）

【参考】
・GamesIndustry
http://www.gamesindustry.biz/articles/2016-06-24-brexit-uk-game-developers-share-their-concerns
・GameSpot
http://www.gamespot.com/articles/uk-games-industry-reacts-to-brexit/1100-6441210/

 
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