「自分の時代にもあれば」『ボカロで覚える参考書』が異例の大ヒット!! 日本の学力アップはオタク文化にかかってる!?

2016.06.30

YouTube『ボカロで覚える中学歴史/理科 全20曲試聴(初音ミク・GUMIほか)』より。

 今年の4月22日より、学研プラスから発行された『MUSIC STUDY PROJECT ボカロで覚える中学歴史』『MUSIC STUDY PROJECT ボカロで覚える中学理科』が、発売開始から約2カ月で累計発行部数13万部突破という異例のヒットを記録し、世間を驚かせている。これには義務教育を終えた人たちから「こんな参考書あったら俺ももっと勉強したよー(笑)」「やだもう もっと早く出してよ!(笑)」と羨ましがる声が上がったり、「すごいなあ、発想と企画の勝利」「企画者を褒めてあげたい」と感心する声があがった。

 同誌は、史上初のPV映像付きボーカロイド曲で覚える参考書。中学授業の重要項目が歌詞や映像にちりばめられた曲で、楽しく勉強できる。また、歌とセットになっていることで、分かりやすく授業を解説してくれる。『歴史』の参考書にはボカロの人気曲「千本桜」「脳漿炸裂ガール」の“歴史バージョン”ほか10曲が、『理科』の参考書には「厨病激発ボーイ」の理系男子バージョンほか10曲が収録されている。企画者は“中二病”を意識して編集したそうだ。

 これらの曲のPVはYouTubeでも視聴できるようになっているのだが、4月15日に公開されたところ、6月29日現在の再生回数は31万回を超え、5,300以上の“高い評価”が付いている。コメント欄には中学生と思われる人の投稿も多く「ちょうど中学生だからほしいwwガチで良い点数とれそぉー」「2冊とも買ってもうた~! とってもいいです! よく覚えられて年号も暗記できました、他の教科も出してほしいなぁ~」「理科苦手だったので即買いました。歌詞で覚えられて凄い良かったです!!」と、実際に成果も出ているようだ。また高校生と思しき人からの高校バージョン希望の声も非常に多く、学研には期待のまなざしが向けられている。

 しかし一方で、「肝心の歌詞が聞き取りにくいのでは」「ボカロじゃ何言ってるかわからん」と指摘する声も少なくない。そこでニコニコ動画で人気の、中学生などから絶大な人気のある“歌い手”に歌ってほしい、なんて声も。学研の次の一手がどうなるのか注目だ。

 学習参考書としては、つい最近も中学の英語の教科書『NEW HORIZON』(東京書籍)のエレン先生が「可愛すぎる」と話題になり、TVメディアにもとりあげられるほどの注目を集めていた。(記事参照)。エレン先生の人気により、2011年に発売された『ミライ系NEW HORIZONでもう一度英語をやってみる: 大人向け次世代型教科書』(東京書籍)も一時はAmazonで在庫切れになるほどで、この時も「最近の教科書はスゲーな」「今の中学生が羨ましい」「俺も今の時代に生まれていたらもっと勉強できていただろうな」と、今回と同じような反応があがっていた。

 少子化の時代、教育事業を扱う企業はあれやこれやと工夫を凝らして売り上げを記録しているようだが、教科書への関心が高まり、内容がとっつきやすいのなら、基本的には子どもたちにとっては良いことではないだろうか。楽しく勉強できて、大人世代も新時代の勉強法に興味を持ってくれて、教育大国日本が復活するかもしれない。

 さまざまな企業が学研、東京書籍を習って個性的な参考書をリリースし、オタク文化で日本の学力がアップしたのなら、世界から「クレイジー」と称賛されること間違いなしだ。

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