世界が滅亡してもB級映画が観たい!オタク少年の青春映画『マチネー』が特典映像付きでパッケージ化!!

 60年代のB級映画好きな少年の胸キュンなラブストーリーを綴った本作は、劇場公開時は地味な興収結果に終わった。その後、VHS化、DVD化されたものの廃盤の憂き目に。でもねぇ、シネコン化される以前の街の映画館や友達代わりになってくれた古いB級映画たちへのジョー・ダンテ監督の想いがジンジンと伝わってくる、すっごく愛情たっぷりな作品なんですよ。予告編に心躍らせるジーン少年は、若き日のジョー・ダンテ監督そのもの。放射能や核爆発の恐怖もエンターテメントとしてうまく描いており、福島原発事故をリアルに体感した今の日本人には、劇場公開時よりもっと身近に感じられるはず。

1606_matinee_02.jpg劇場内にアリ人間が登場! 映画館には様々なサプライズが用意されていた。

 7月22日(金)より公開される実録映画『トランボ ハリウッドにもっとも嫌われた男』でもB級映画会社の社長役を好演している名優ジョン・グッドマンだが、本作で彼が演じた映画監督ウールジーも実在の人物。天才(詐欺師)的興行師と呼ばれ、50年代~60年代に大活躍した映画プロデューサー兼監督のウィリアム・キャッスルをモデルにしたもの。ウィリアム・キャッスルは「この映画を観てショック死した人には生命保険が下ります」みたいなプロレスチックな宣伝を作品ごとに仕掛けたアイデアマン。『ティングラー 背すじに潜む恐怖』(59年)というモンスター映画の公開時には、映画館の座席がモーター仕掛けでブルブルッと震えるシステムを導入している。今のシネコンで人気の4DXシアターを半世紀前からやっていた人なのだ。ウールジーがいろんなギミックを仕込んだ『MANT!』の上映シーンが本作のハイライト。本作を観ることで、ウィリアム・キャッスルが活躍した50年代~60年代の恐怖映画に夢中になっていたティーンエイジャーたちのハラハラドキドキ感を追体験することができる。

1606_matinee_03.jpgウールジー監督(ジョン・グッドマン)のモデルは、“伝説の興行師”ウィリアム・キャッスルだ。

 今回のセル版ブルーレイ&DVDには特典映像として、劇中映画『MANT!』
のフルヴァージョンが収録されているのもうれしい。全編16分程度の短編だが、ウールジーがヒッチコックばりに前口上を述べるプロローグから、古典的名作ホラー『ハエ男の恐怖』(58年)を思わせるショッキングなアリ人間の造型、さらにモンスター映画としての醍醐味も味わえる完成度の高いSFホラーコメディとなっている。ジョー・ダンテ監督のインタビューも収録されており、劇中に出てくるジーン少年の持っているホラー映画雑誌は監督自身の私物であることや、もう一本の劇中映画『暴走ショッピングカート』に登場する金髪のヒロインは新人時代のナオミ・ワッツであることを明かしている。B級マニアの好奇心を満たしてくれる粋なパッケージではないか。でも、世界が滅亡するのは勘弁してほしい。
(文=長野辰次)

『マチネー 土曜の午後はキッスで始まる』

監督/ジョー・ダンテ 出演/ジョン・グッドマン(石田太郎)、キャシー・モリアーティ(藤木聖子)、サイモン・フェントン(佐々木望)、リサ・ジェイカブ(本多知恵子)オムリ・カッツ(高木渉)、ケリー・マーティン(岡村明美)
■6月24日(金)マクザムよりセルブルーレイ(4,800円)&セルDVD(3,800円)発売 
映像特典/短編映画『MANT!』本編&予告編、メイキング、インタビュー、オリジナル予告編、スライドショー
(c)1993 PANDORA CINEMA

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