【今月の不健全図書レビュー】性器を白抜きにしても、エロ過ぎるんだよ！　『みるきぃ・りっぷ』（コアマガジン）

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――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない！　このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング（群衆による資金調達）ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー（群衆による批評）、はじまり、はじまり～！

『みるきぃ・りっぷ』（コアマガジン）

【今月の指定図書】

　今月の不健全図書指定は2冊。

　そのうちの1冊は、アンソロ『みるきぃ・りっぷ』（コアマガジン）です。こちら表紙に「380P超えの大ボリューム」とキャッチが書かれています通り、再録原稿を集めた廉価本であります。

　なぜ東京都が、この本を指定候補としてセレクトしたか。それは自ずと理解できます。

　コアマガジンでは4月に、同じく再録誌の『がーぱら！』が指定されておりますが、これと同じ。単行本なら18禁マークつけている作品群を、マークなしで出版しているんだから、目をつけられるのも当然でしょう。

　それでも、指定されるより前に売り逃げすれば元は取れるから、出版社としては問題ないというところでしょうか。

　ともあれ、この本が識者からはどのような指摘を受けているのかを分析していきましょう。

（以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用）

　なんだかんだといっても、老舗エロ系出版社のコアマガジンゆえにエロ度はお墨付き。指定該当10、保留2、指定非該当2と、この数値を見てもエロ度が高いのがわかります。

　中には【修正はされているが、女子学生という設定も多く、芳しくない】と、制服モノが多いことにこだわる人もいます。でも、指定該当意見の多くが指摘するのは、エロ度の高さ。もちろん、有罪判決を受けた経験もあるコアマガジンゆえに、白いアワビのごとく性器は消しています。消していますが、それでも問題点を指摘されるのです。

【性器の局所部分こそ白抜きで修正されているものの、擬音や体液の描写を含め、性的行為の描写や表現自体は露骨】【性器は全体的に白抜きでよく消されているが、形状がわかり】などなど。皆さん、性器を白塗りにしたろころで【体液や擬音の描写も甚だしい】と「消しゃあいいもんじゃないぞ！」と、指摘しているのです。指定非該当とする意見は【修正がしっかりなされている】と述べますが、こっちのほうがポジショントーク感を禁じ得ないのです。

　改めて、性器を修正してればよいものじゃないことがよくわかる指定。まあ、多くの識者の股間を刺激することができるハイレベルな作品が収録されていたって、ことで。
（文＝昼間 たかし http://t-hiruma.jp/）

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/672/672siryou2.pdf