「ホラー映画大嫌い!」こそ見るべき!?『貞子vs伽椰子』おしっこ漏れちゃわないための鑑賞の手引き

2016.06.21

映画『貞子 vs 伽椰子』公式サイトより

 私事だが、ホラー映画が嫌いである。特に「Jホラー」と呼ばれる一連の作品が大嫌いだ。

 きっかけは1998年公開の『リング』だった。松嶋菜々子が伊豆のペンションで呪いのビデオを見てしまった直後、電話のベルが鳴った瞬間に、筆者は恐怖のあまり「おふぅん!」と珍妙な声を上げながらウンコを漏らしそうになってしまった。おしっこはちょっと漏れたかもしれない。

 以来、筆者は「Jホラー」にアレルギーともいえる拒否反応を示すようになってしまった。最近公開された『アイアムアヒーロー』はたいへん面白い作品だったが、前半の「Jホラー」的な演出に、しばらく不快感が残っていたほどである。

 じゃあ見なければよくない? わざわざそんなこと言う必要なくない?

 そう思われるかもしれないけれど、そうもいかないのである。『リング』がヒットしたことで、この国には「Jホラー」ブームが来た。選んで観に行かなくても、映画館に行けば勝手に「Jホラー」の予告編が流れてくるようになったのだ。これがもう、超ウザいのである。ほとんどイジメであり、嫌がらせだ。

 そんな嫌がらせ的な予告編の中で、もっともダメージを与えてきたのが、『呪怨』や『呪怨2』および、それに類する作品群だった。たった数十秒に濃縮された映像は1秒1秒、全部怖かった。こちらもヒットするので次々に新作の予告編が襲ってくるし、いつもいつも伽椰子も俊雄もすごく怖い。音楽もコピーも全部怖い。観に行った本編への集中力が削がれるほどだ。本当にやめてほしい。

 さて、『貞子vs伽椰子』である。この作品を観に行ったのは、「怖いもの見たさ」によるものだった。ホラー映画を「怖いもの見たさ」で観に行くというと、なんだかトートロジーのようだが、筆者にとって今作は恐怖を味わうためでなく、恐怖を克服するための映画になりうる予感がしたのだ。どっちかがどっちかを、なんとかしてくれる。そう思えば、予告編だって何度でも見ることができた。

 結果、鑑賞後には世界が変わってしまった。

 嫌いなものが嫌いじゃなくなることは、人生における大きな喜びのひとつである。そんな喜びをひとりでも多くの読者の方々に味わってほしく、本稿を「ホラー嫌いのための『貞子vs伽椰子』鑑賞の手引き」としたい。

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