6月2日から26日にかけて、「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2016」(以下、『SSFF』/表参道ヒルズ スペース オーほか)が開催されている。
その会場の1つ、表参道ヒルズ・スペースオーにて5日、「『ムーム』上映&堤大介監督トークイベント」が実施された。昨年の第87回アカデミー賞短編アニメーション部門・ノミネートが記憶に新しい『ダム・キーパー』に次いで制作された短編『ムーム』が、『SSFF』のジャパンプレミア上映になることから、トークショーも注目を集めていた。
■『トイ・ストーリー3』からピクサー入社 アートディレクターの仕事とは?
堤監督はピクサーに移る前、『アイス・エイジ』シリーズなどを制作するブルー・スカイ・スタジオに在籍。その後、2006年の秋ごろに『トイ・ストーリー3』の企画が進んでいたピクサーのリー・アンクリッチ監督から「ぜひ一緒にやりたい」とメールで誘われたという。
「当時はピクサー以外なかったってくらいすごかったんです。一応(ブルー・スカイ・スタジオは)ライバル会社とはいえ、足元にも及ばない、と言いたくないがゆえに『ピクサーに行くものか』と思ってました」(堤監督)。しかし監督自らのオファーから、翌07年にアートディレクターとしてピクサーに入社した。
「『トイ・ストーリー3』を終えてからは『モンスターズ・ユニバーシティ』です。1つの作品だけで言うと6、7年かかっちゃうんですけど、実制作としてはアートディレクターでしたので3、4年ですね。CGアニメーターだと関わるのは2年くらいですけど。そんな感じで長いので、ピクサーには7年いたのに2作品しか関わっていません」(堤監督)
堤監督のキャリアは16年。「映画を作る時に描くコンセプトアートって言うんですけども、それをずっとアメリカのアニメーション界でやってきました。途中からアートディレクターという形でCGのスタッフとコラボしながら、自分の絵だけでなくて、彼らがやったものをチェックしてできるだけいいものにしていく役割をしてました」と振り返る。
アートディレクターの仕事は「色と光を使って演出していって、どうストーリーをビジュアルとして伝えるかのアイデアを出して監督からOKをもらって大勢のCGスタッフと作っていく感じですかね」とのこと。「もうちょっと詳しく言うと、映画の中のカラースクリプトという工程を担当していて、どうやって映像で観客の感情に影響を与えていくかということをやってました」と、自らの職分を解説。
「このエモーショナルチャートを見るとわかるんですけど、上に行けば行くほど感情が高ぶり、下に行けば行くほど感情が沈んでいきまして、観客がどう思っているのかを全員で把握しておいた上で作っていくのが大事なんです。これを早い段階でやっておくと、本当に良い意味でストーリーと映像がつながっていくことになります」(堤監督)
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