【劇場アニメレビュー番外編】日本映画界を支える“アニメ映画界”を2016夏、新海誠『君の名は。』が大きく変える!?

 そういえば『劇場版響け!ユーフォニアム』はもとより、ここ数年、京都アニメーション製作の映画がごく自然に劇場公開されるようになって久しいが、私自身は自社制作を辞めたスタジオジブリ(9月公開の『レッドタートル ある島の物語』はフランス発のジブリ最新作という触れ込みだが……)の後を継ぐべきは京都アニメーションであり、山田尚子監督の意欲的新作『聲の形』(9月17日公開)もぜひ成功していただきたいと切に願っている。

 かつてはマニアックと思われていたものが、若い世代の間ではごく普通のものとしてみなされてきている現在だからこそ、『ガラスの花と壊す世界』『同級生』『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~』のような映画オリジナルとしての作品も続々と登場し始め、『PERSONA3 THE MOVIE #4 Winter of Rebirth』や『コードギアス 亡国のアキト 第5章―愛シキモノタチヘ―』『新劇場版頭文字D Legend3―無限―』『たまゆら~卒業写真~第4部 朝―あした―』『シンドバッド』のような多彩なジャンルのシリーズものも、上手く結末まで着地できたのだと思う。

 さらには『劇場版LAST EXILE 銀翼のファム Over the wishes』『劇場版selector destructed WIXOSS』のような深夜アニメーション・シリーズものの総集編映画から『劇場版探偵オペラ ミルキィホームズ~逆襲のミルキィホームズ~』『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENTIONS』『劇場版牙狼〈GARO〉―DIVINE FLAME―』のような意欲的劇場用新作、また『デジモンアドベンチャーtri.第2章「決意」』『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN Ⅲ暁の蜂起』『亜人 第2部―衝突―』といったシリーズも俄然好調である。

 今やアニメーション映画の隆盛を抜きに、日本映画界は語れなくなってきていることを年々痛感している。その意味では実写畑の映画人および映画ファンはもっとアニメ作品に目を向けてしかるべきだし(『野火』の塚本晋也監督は、アニメ映画を作ることを映画作家としての夢のひとつにしているそうだ)、一方でアニメ界の才能とのコラボも今後は積極的に行っていくべきであろう(庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』こそは、その象徴になっていただきたいものだが)。

 アニメ業界もまた、スタジオ出身ではなく、インディーズの個人アニメ作家としてキャリアをスタートさせた新海誠監督が、ついに『君の名は。』で東宝の夏メジャー番組を担うという快挙を成し得たことによって、今後のアニメーション映画の流れを大きく揺るがす革命が起こりそうな予感がしている。

 まだ多くは語れないが、あの作品はそれに見合うほどの傑作に仕上がっている……はずだ!
(文・増當竜也)

「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」完全版(DVD)

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新海監督の初期作がリメイクされた作品です

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