トップ > その他 > 特撮 > 記事詳細  >  > 2ページ目

【特撮・特撮&ロック】

モノブライト出口博之の特撮自由帳(2)“家族”がいるからこそ描かれるヒーローの素顔とは!?『仮面ライダー響鬼』が見せた父性に注目してみました!!

2016.06.10

 メンバーが複数いるということは、各キャラクターがそこにいる意味、それぞれの存在意義(一緒に戦う理由含め)が非常に重要になってきます。戦隊として訓練されたスペシャリスト集団、偶発的にヒーローになってしまった人たちの集団、集まる理由は多岐にわたる中で、「血縁関係であること」はキャラクターがそこにいる理由として、確固たるものがあります。『帰ってきたウルトラマン』でのウルトラマン、ウルトラセブンと同じ関係性からの説得力です。このことから、総じて「主要メンバーが複数登場する作品は兄弟設定との親和性が高い」といえます。

・未完成な心の成長憚

 家族構成において、兄弟(姉妹)の関係は「互いの違いを意識する関係」であり、これにはある種「競合する関係」も内包しています。「なんで弟ばっかり」や「なんでお兄ちゃんばっかり」、実際に身に覚えのある方も多いと思いますが、極端にいうとこれです。これは、健全な人間関係を築く過程(相手を認めて自分を確立していくこと)の第一歩でもあります。兄弟という関係性が多いのは、「互いを認め合うこと」という精神的成長が見られるドラマの山場へつながる安定したフォーマットである側面もあります。

 対して、親と子の関係性はどのように扱われているのか。
 特撮作品における父と母の金字塔は「ウルトラの父(ウルトラマンケン)」と「ウルトラの母(ウルトラウーマンマリー)」ですが、後続作品には両親が有機的に物語に絡んでくるものは兄弟関係に比べると多くありません。

『流星人間ゾーン』DVDジャケット

『流星人間ゾーン』(73年)は両親、子供、祖父と、家族総出という珍しい形態を持ちますが、親の存在はどちらかというと、一歩引いた立ち位置にいます。他の作品で多く見受けられるパターンとして、父親(もしくは両親)の研究が敵に狙われ、命がけで子供に研究内容(もしくは戦闘能力)を託し生き絶えるなど、物語の起点となる場合が多く見られるようです。特に父親の存在がひとつのキーワードになっている印象が感じられます。

 劇中で目立った活躍を見せた父親は、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』の巽世界(モンド)、『魔法戦隊マジレンジャー』の強敵・魔導騎士ウルザードになってしまった小津勇、『獣電戦隊キョウリュウジャー(2013年)の桐生ダンテツ、ちょっと方向性は違いますが『仮面ライダーキバ』(08年)の紅音也も父親ですね。主人公と同じ場所で戦線に参加するパワフルな父親は他にもいますが、ほとんどの父親は主人公が越えるべき存在、または壁として描かれていることから、父親は自分の目標であると同時に、自分自身の道を模索する指標でもある、といえます。
 これが特撮作品における父性ではないかと考えています。

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー