アイドルの原点はどこにある? 國學院大學で企画展『偶像(アイドル)の系譜』開催中

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 では、人々の前で歌い、踊るという存在としての「アイドル」の原点はどこにあるのだろうか。それを紐解くのは次のコーナーである「はじまりの藝能」だ。

 このブロックでは、もともとは宗教的な儀式「マツリ」であった歌や踊りが、大衆の娯楽である「芸能」へと変容していく様を、歴史をたどるような形で展示している。

 沖縄の「アンガマ」、全国の神社で行われる「神楽」などを紹介しながら、その一つの原点として「天岩戸神話」へとたどり着く。

 悲しみのため岩戸に隠れたアマテラスを外に出すために踊りを踊ったアメノウズメ。その姿は、あたかも、現代社会で闇の中にいる人々の心を解放するために歌い、踊るアイドルのようではないか。今のアイドルの原点が、神話時代に見られることに、不思議な感慨を覚える。

 そして最後のブロック「見えざる神々の身体」。

 ここでは、もともと万物に宿るとされていて、形のない神や精霊、それをどのように具現化してきたかを探る。

 形のないものの具現化──それは、現代のアニメやフィギュア、または、実在していながらも、新たなキャラクターや衣装で、ある意味「アイドル」という別人格を宿した少女たちにも通じるものかもしれない。

 神様の足跡「仏足石」、仏塔、神像、土偶と辿っていき、最後にたどり着いたもの。この展示会の最後のショーケースの中にあったもの。

 そこには、女性の乳房だけを形どった、小さな焼き物が置かれていた。

 そうか。そうだったのか。

 私はまるで「アイドル」という大河の流れのような文化をさかのぼり、その最初の一滴にたどりついたような感覚におちいった。

 グループアイドル全盛とはいえ、一方でグラビアDVDの市場も活況を呈している。そんな根源的な信仰の根を、1万年前から我々は脈々と受け継いでいたのだ。

 偶像を崇拝する「信仰心」の中には、多い少ないの差こそあれ「性的な魅力」が含まれていたのではないだろうか。そして、その人間の根源的な欲求こそ、現代の「萌え」の文化につながっているように感じた。

 最近でこそ少なくなってたが、1990年代前半のいわゆる「アイドル冬の時代」には、「アイドル好き」というだけで偏見の目で見られたり、迫害(というほど大げさなものではなくとも)を受けたりすることもあった。

 しかし、今思うと、それすらも仲間たちの結束を強めたり(折りしもパソコン通信などが始まり、横のつながりが作りやすい環境が整いつつあった)、本当に自分が好きなものを見つめ直したりするよい機会であったと思う。

Eternal Summer

Eternal Summer

アイドル・丸山夏鈴が生きた証

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