“再現度”がすごい! 時代を越えた恋愛模様を描く、歌劇『明治東京恋伽』ゲネプロレポート

 物語はある満月の夜から始まる。ごく普通の女子高生・綾月芽衣は、自称・奇術師のチャーリーの手によって明治時代へとタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは、画家・菱田春草や小説家で軍医、官僚でもある森鴎外、役者の川上音二郎、戯曲家・泉鏡花、警察官・藤田五郎、東京帝國大学英文学講師・小泉八雲ら6人の偉人たち。今回はタイトルにある、「朧月」と「黒猫」をキーワードに、次第に惹かれあっていく芽衣と春草の時代を超えた恋愛模様を描いた、いわゆる“春草ルート”でストーリーが進んでいくのだ。

 19時からの初日公演を前に行われたゲネプロでは、開演前に、橋本祥平演じる菱田春草と、荒木宏文演じる森鴎外が舞台中の注意事項をアナウンスしつつ、「さぁ、鹿鳴館へ急ごう」と物語の舞台となる明治時代へ、私たち観客を誘う――。

■物語の核となる二人

 ふと気がつくと、そこは、明治の鹿鳴館。社交場として有名なこの場所には、菱田春草や森鴎外など、歴史上の偉人たちが集っていた。現代から迷い込んできた少女・綾月芽衣を演じるのは、舞台の他、映像やラジオなど多岐にわたって活動し、今後の活躍が期待される女優・青木志穏。ちょっと内気な芽衣が偉人たちとの出会いの中で成長していく様子を、表情たっぷりに好演。春草のために奔走する姿が健気で可愛らしい。物語の終盤では、彼女の切なげな表情と声が、涙が観客の涙を誘う。

 今作の主役であり、クールで無愛想だが、被写体を目にすると豹変するという二面性を持つ画家、菱田春草を演じるのは、橋本祥平。ミュージカル『薄桜鬼』シリーズ(斎藤一役)や、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』(西谷夕役)など人気作へ出演してきたが、主演舞台は今回が初めて。「自分のことで精いっぱいだったのです諸先輩方や、志穏ちゃん(青木)や晃祐(遊馬)が支えてくれてここまでやってこれました。その集大成を初日で迎えられたらと思っています」と、開演前の囲み取材で意気込みを語った。

■彼らを取り巻く個性豊かな面々

 お互いを意識するあまり、ドギマギしてしまう芽衣と春草をからかいながらも、温かく見守るのが、荒木宏文演じる森鴎外だ。物腰穏やかで気品溢れる好青年だが、時折見せる子供っぽい一面にグッとくる。

1605_meikoi_01.jpg遊馬晃祐演じる川上音二郎(左)と赤澤燈演じる泉鏡花(右)

 また、川上音二郎を演じる遊馬晃祐の女形も見どころの一つ。スーツに身を包む男前な姿から一変して可憐な着物姿で現れ、そのギャップが魅力的だった。赤澤燈が演じる、神経質で感情の起伏が激しい作家・泉鏡花との関係性にも注目してほしい。

 吉岡佑演じる、短気で堅物な警察・藤田五郎と、汐崎アイル演じる、明るく人当たりのよい英語教師・小泉八雲の性格も対比も面白く、シリアスなシーンやコミカルなシーンでは特に2人の性格のキャラクターがよく現れており、見る側を飽きさせなかった。

 芽衣を明治時代へタイムスリップさせた奇術師のチャーリーは、明るく陽気だが、つかみどころがない一面も。一方で芽衣のキツイ一言に興奮してしまう“ドM”な面もあり、安里勇哉がミステリアスかつ、コミカルに演じた。劇中に行う手品も必見だ。

 また、5月に追加キャストとして出演が決まった、白雪や芽衣の母親などを演じる黒瀬千鶴子は、あるときは芝居で、あるときは力強い歌と華麗な舞で、他のキャストたちの演技を盛り立てていたのが印象的だった。

1605_meikoi_05.jpg吉岡佑演じる藤田五郎(左)と汐崎アイル演じる小泉八雲(右)

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