『ブラック彼女』(吉原雅彦)第1巻  ジェットコースター展開過ぎる可愛いサイコパスの博覧会!

 表紙が巨乳な美少女だからといって、騙されてはいけない。吉原雅彦『ブラック彼女』(メディアファクトリー)は、まったく先が読めないジェットコースターのような展開が繰り返されるサスペンスだ。

 物語の主人公・星野テルは、気弱な性格ゆえに、いつもイジられてばかりいる男子。そんなテルをかばってくれるのが、巨乳のクラスメイト・雨宮ミドリ。「星野くんをいじめていいのは、わたしだけだもん」と、いきなり抱きついてくるような元気娘である。

 そんな彼女に誘われて、テルは初めて女の子の部屋に入るという体験をする。ちょっと恋心を抱いている女の子の部屋という、甘酸っぱく幸せな体験。でも、そこでテルは、この部屋に来たのが初めてではないという感覚を覚える。

 そして、一旦部屋を出ていったミドリが再びドアを開けたとき、テルは封印されていた記憶を思い出す。かつて、この部屋でミドリに「お医者さんごっこ」だといって乳歯を抜かれた忌まわしい記憶を。二重人格なのか、あるいはすべてが演技だったのか、ミドリは恐ろしい本性を現す。「星野くんをいじめていいのは、わたしだけだもん」の言葉通りに……。

 慌てて逃げ出したテルが出会ったのは、学校でも信頼している男性教師の月岡。だが、話が最近出た通り魔の話になったときに、月岡は豹変する。「小さい頃から人の目が気になってしようがない」「だったらもう目のほうを潰すしかないだろ」と。

 その新たなピンチを救ったのは、ミドリだった。それも、いきなり月岡の頭をバットでフルスイングするという方法で。返り血を浴びた姿で、ミドリは口づけをしながら「テルテルをいじめるやつは、みーんなやっつけてあげるね」と告げるのである。

 こうして始まる物語だが、バットでフルスイングされたにもかかわらず、月岡は包帯を巻いたぐらいで学校へ姿を現す。家族の安全と引き替えに月岡の自宅へ呼び出されたテルだが、そこに被せるようにミドリは月岡の娘を誘拐し「ゲーム」を仕掛けてくる。

 こうして、サイコパスとサイコパスの戦いに、否応なく巻き込まれる形になるテルだが、その問題が解決したと思ったら、さらなる新キャラが登場。テルに突然告白してきた下級生の火鳥リリがそれ。これまたいきなり告白してきて、「明日プールに来てくれたら、なんでもしますから」と迫ってくるヤバめな女。

 さらに、テルが髪は短くて色は白いほうが好みとかテキトーなことを言って断ろうとしたら、いきなり髪の毛をカッターで切り、頭から漂白剤を浴びた挙げ句に、泣き土下座をかましてくるのだ。

 もうすべてがヤバイ。もう主人公の周囲には、命の危険を感じるヤバさしかない。そこに加えて、第1巻のラストでは、そこまでやるか……という過激なミドリからの「いじめ」が投入される。

 ページをめくるごとに、想像の上をいく展開が巻き起こるゆえに、まったく安心して読むことなどできない。どんなドMでも泣きながら逃げ出しそうな状況から、主人公は逃れることができるのか? 続刊を早く読みたい!
(文=是枝了以)

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