2006年、冥王星が惑星の定義から外れたとき、「『美少女戦士セーラームーン』(以下、『セーラームーン』)のセーラープルートはどうなる?」と思った人は少なくなかったはずだ。それから10年。『セーラームーン』の舞台となった東京・麻布十番を見下ろす六本木ヒルズ展望台東京シティビュー内スカイギャラリーで開催されている「美少女戦士セーラームーン展」を記念し、六本木天文クラブによるスペシャルトークショー「セーラームーンの宇宙」が、5月22日に行われた。
『セーラームーン』に見られる宇宙に関する設定について語り合うこのイベントに登壇したのは、テレビアニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』(以下、『Crystal』)でシリーズ構成と脚本を手掛ける小林雄次氏と、女性天文学者の松本尚子氏。モチーフになった天体の実際と『セーラームーン』は、どのような関係なのか。「へ~」が盛りだくさんだったイベントをレポートする。
■火野レイが飼っているカラスの元ネタは?
まず語られたのは、キャラクターとそのモチーフになった“惑星の現実”について。『セーラームーン』といえば、まず「月」だ。松本氏によれば、最近の月のトピックスのひとつは、月周回衛星「かぐや」で月の表面の詳細が明らかにされてきたことだ。そして、今では月の中心にも地球と同じくマントルがあり、まだ冷めきっていないというのが分かってきているという。
また、月と地球の距離は、昔は約2万キロメートルだったが、今は38万キロメートルだそうだ。「数十億年前ですけど、月は地球のすぐそばにあって、当然その頃は生物はいませんが、地場衛が地上から月を見上げたら、ものすごく巨大な月が見えたはずなんですよね」と思いを馳せる小林氏。
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