そんな、うらぶれた風景の中にも、賑わいをみせるところはある。一つは、福住のフライケーキ。もうひとつは、巴屋のアイスもなかである。
後者は呉駅にも店舗があるのだが、福住のフライケーキのほうは、毎日決まった数しか作らないという。訪れたのは夕方近くだったのだが、筆者の次に並んだ人で売り切れてしまった。呉の人は、このフライケーキを10個単位で買うのが当たり前だそうで、前後の客が共に「20個ください」と注文していたのに驚いた。
もうひとつの巴屋は、売り切れとは無縁の様子。地元の人に聞いてみたが、かつては夏には来客があればアイスもなかを買いにいくのが当たり前だったという。しかし、その美味さからは信じられないくらい、本店のくたびれ感も半端ない。思わず「あの、店の裏、なんで……」と聞いてみたら、苦笑しながら「古くてね~」と言うのであった。むしろ、このくたびた具合が、変わらない安心感となっているのだろう。
賑わいが、大和ミュージアムを中心とした一部に限られている呉の街。とはいえ、その歴史の深さゆえに、歩いている中での発見は山のようにある。観光案内所では『この世界の片隅に』のロケ地マップも配布しているが、これもまた、変わっていないのは山くらいという驚きのマップだ。
7月からは、呉市立美術館で『マンガとアニメで見る こうの史代「この世界の片隅に」展』も予定されており、街を訪れる人も多いだろう。
その際には、決して著名な観光地だけでなく、街を歩くことにこそ価値があると覚えておいてほしい。
なお、フライケーキとアイスもなかは夢に出てくるくらい美味いということも、重ねてお知らせしておく。ああ、その場でアイスを詰めてくれるアイスもなかのパリパリ感!
(文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/)
『艦隊これくしょん~艦これ~』も『この世界の片隅に』も…… 本質は駅の北側──フライケーキとアイスもなかが夢に出てくる「呉」を聖地巡礼のページです。おたぽるは、PCゲーム、ゲーム、聖地巡礼、この世界の片隅に、広島県呉市の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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