アニメやマンガばかり観ているドキュメンタリー童貞諸君に捧ぐ! 衝撃はラスト12分間だけじゃない映画『FAKE』

1605_fake_main.jpg『FAKE』劇場予告動画より。

 エンタメニュースサイトである『おたぽる』編集部や、筆者が所属する編集プロダクションには、配給宣伝会社からさまざまな新作映画のマスコミ試写状が郵送されてくる。

 しかしながら、それらの膨大な試写状の中で、あえて時間を割いて試写室へ訪れたくなる作品は限られている。

 そんな中、あえて筆者は『A』、『A2』という衝撃的な作品を世に放ったドキュメンタリー映画監督・森達也の新作映画『FAKE』を巡る原稿を担当することになった。

 それは先日、渋谷区円山町のKINOHAUS(キノハウス)1階に今夏オープンするLOFT9 Shibuyaに、仕事仲間の加藤梅造プロデューサーを訪ねて企画の相談に伺った際、偶然にも2階のユーロライブで『FAKE』のマスコミ最終試写が行われており、終映後の騒然とするエントランスにて森と少しばかりの会話を交わしたことが契機となっている。

「『A』・『A2』ともに、マスコミ試写には大勢の書き手が来てくれた。しかし、どうにも題材がレビューしにくい作品で、書き手の立ち位置も問われる内容だったから、マスコミに取り上げられる機会も少なく、興行的には失敗だった」

 そう切りだした森達也は、「とにかくドキュメンタリー映画はヒットしない。だからこそ、アニメやマンガやゲームのファンの人たちにアピールしてヒットさせたい。前作のオウムと比べたら、今回は僕も書き手も気楽に話せる内容になったと思ってます」と語ってくれたのだ。

 今作のテーマは、かつて<現代のベートーベン>とまで賞賛された佐村河内守。2014年のゴーストライター騒動を経て、メディアから完全にその姿を消してしまった佐村河内の嘘と真実に迫るべく、森達也自らが肉薄する長編ドキュメンタリー映画『FAKE』が完成した。この類い稀なる傑作ドキュメンタリーに少しでも興味を抱いて頂けたらという筆者の願いを込めて、『おたぽる』での執筆を決めた。

 いよいよ公開週を迎え、『FAKE』に対する考察や解説、ディスカッション等の特集記事がさまざまな媒体で散見されるようになった。

 ところが、純然たる批評家は出る幕がないのではと思えるほど、試写を観た数多の表現者が発する絶賛コメントが過剰に供給され、それら無数の視点や解釈を巡っての白熱した論議は、日々拡散され収束する気配すらない。

 いとも簡単に表現者を翻弄し、表現者自身を劇的に支持層へと導いてしまう、無軌道でありながらもトリッキーな底力を持つ“プロフェッショナル表現者”森達也の影響力を、まずは筆者自身の軌跡をベースに記していきたい。

アニメやマンガばかり観ているドキュメンタリー童貞諸君に捧ぐ! 衝撃はラスト12分間だけじゃない映画『FAKE』のページです。おたぽるは、映画その他の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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