エロゲーよ、萌えているか?

ソシャゲー、同人もパッとせず、アニメメーカーや流通に無理を強いられるも、注目のメーカーは次第に頭角を…【ぶっちゃけエロゲー界ってどうよ?連載(4)】

ソシャゲー、同人もパッとせず、アニメメーカーや流通に無理を強いられるも、注目のメーカーは次第に頭角を...【ぶっちゃけエロゲー界ってどうよ?連載(4)】の画像1上「オーガスト」、下「ナインテイル」 各メーカー公式サイトTOPページより。

 これまで連載3回もかけて、エロゲー業界は景気が悪い! と言い続けてきたこの連載もようやく最終回。

 景気が悪い景気が悪いと連呼していても、残念ながら景気は良くならないので、エロゲーに明るい展望はないのか、メーカーはどんな布石を打っているのか? そのへんのところを、ライター佐藤氏(仮名)に聞いてみた。

―― コンシューマーや全年齢向けのゲームメーカーは、モバイルゲームやソーシャルゲームに活路を見出そうとしているみたいですけど、エロゲー的にはどうなんですか? DMMなんかは大量に配信していますよね。

佐藤「このまま座して死を待つよりはマシと、動き出してはいるようです。ただ、新作としての動きはあまりないですかね。『パズル&ドラゴンズ』や『艦隊これくしょん-艦これ-』とまではいかないにしても、少なくとも後に名を残すような作品は出てきていない。下請けで手伝っている作品とかだと、黒字になっているゲームはあるみたいですけど」

―― エロとソシャゲって、相性良さそうな気がしますけどね。

佐藤「相性は良いでしょうけど、ドコモやアップルはエロにうるさいですから、販売する場所がなかなかない。あと、作って終わりではなく、毎週か毎月か、とにかく飽きさせないように、定期的にイベントを仕掛けていく運営も必要なわけですし。そういったソシャゲやモバゲーならではのノウハウを持っているメーカーは少ないと思うんですよ。ガラケー時代にあった、DL販売するミニエロゲーのような作品なら可能だと思いますけどね。いろんな課題やクエストをクリアしていくと、女の子が脱いでいってエロイラストを見れる脱衣ゲーム系。この方向性なら強いと思うんですが」

―― 現状、レアなカードをもらうためだけに、何十万円と突っ込むユーザーがいるわけで、エロゲーにだってそれができればと痛切に思ったりします。

佐藤「それには、脱がなくても成り立つぐらいの下地が必要なんですよ。まさかあのキャラクターのおっぱいが見れるの!? 全裸が見れるの!? とならないと。シナリオが優れていて、何万人もが読んでくれるとか、まずゲームが面白くて、そのご褒美としてのエロがあるというのなら需要もあるんでしょうけど、今の紙芝居スタイルのエロゲーのままだと、厳しいのではと思います」

―― それは大手メーカーが本気出さないと、なかなかたどり着けないでしょうね。

佐藤「大手なら、自社作品の人気キャラクターを利用すれば可能かもしれませんが、それでも大変だと思います。エロソシャゲはいくつかリリースされていますが、無料プレイのうちに飽きられて、知らないうちに終わっていることもザラだと思います。数少ない成功したエロソシャゲに『千年戦争アイギス』(DMM.R18)がありますが、これは先ほど言ったゲームとして優れていることが大きい。その証拠に、後から一般版もリリースされていますし」

―― では第2第3の『千年戦争アイギス』は簡単には生まれない?

佐藤「可能性はゼロではないと思います。でも知名度を上げるのも簡単ではないですよね、18禁だと広告もそんなに打てないし。ソシャゲでエロゲーならではの展開を考えるとするなら、タブレットとかでタッチするゲームあるじゃないですか。『ラブプラス』とか、タッチペン使ってコミュニケーションをとるというDSのギャルゲーが少し前に流行りましたけれど、あれはエロゲーと相性が良いじゃないですか」

―― 「次はどこを見る? 触る?」みたいなことはマウスを使って、昔からやっていましたよね。

佐藤「そうそう。今はタブレットを使って、何度も遊びたくなるように構成したブラウザゲームを作っているメーカーがあるようなので、それは配信を楽しみにしています」

■熱いエロ同人、出てこいや! え、そんなにいない?

 

―― 同人時代のTYPE-MOONのような、注目の同人とかはいるものですか? エロに限らず、『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07みたいな人がまた出てこないかと、2次元エンタメ業界全体が似たようなことを考えていると思いますが。

佐藤「一時期、同人ゲームでフラッシュを使った乳を揺らすゲームがあって、それはすごく受けていたみたいですけど、今だとRPGと3D動画が流行っているようですね。サクッとできて、エロもあって、時間つぶしにちょうどよくて」

―― 昔からありましたよね、RPGツクールとかを利用して、世界観やキャラクターは『ド○クエ』そのまま、みたいな。

佐藤「そうそう、それなりに楽しめるけど、大化けするかといわれると……。同人時代のTYPE-MOON竜騎士07みたいな、”俺はこれが作りたい!”と熱い思いをこめて、同人ゲームを作っている人たちもいるにはいるけれど、自分が知る限りでは大ヒットは少ないかな。3D動画は年々艶やかになってきてるんですけど、あまりに生々しいと規制とか入りそうで、危機感を覚えています。ただ同人といっても最近は商業っぽいのが増えましたね、アニメパートを入れたり、主題歌もあったりで。ソツのない出来になっていますけど……『月姫』も『ひぐらし』もアマチュア感満載だったじゃないですか。誤字脱字がすごいとか、突っ込みどころも多かったけど、そういうところが気にならないぐらいの魅力があって」

―― 世界観と物語の面白さという一点突破でしたものね。

佐藤「今のエロ同人ゲームは、以前のものと比べたら断然安定感がある。抜ける出来ではある。でも、爆発するかといえば、難しいだろうと思っちゃうんですよ」

―― 一方でかなり利益を出しているところもありますよね。例えば同人マンガのクリムゾンは自費製作アニメもリリースしている。お金も相当かかっているでしょうけど、それぐらい資金があるということですし。

佐藤「そうですね。……アニメといえば、聞いた話なんですけど、某美少女ゲームメーカーが某アニメメーカーから”御社のゲームをアニメ化したい。ただ、費用がないから一部持ち出してほしい”と持ち込まれたことがあって」

―― ありそうな話ですね。通常の製作委員会方式よりも、原作元が持ち出す費用が少し大きいという相談だった?

佐藤「切り出された金額が2億円」

―― それじゃ、アニメメーカー側は全然持ち出さないってことじゃないですか!?

佐藤「そう、”それ一部じゃなくて全部じゃねーか!”と思いましたね。いくらなんでもそれはないだろうと、耳を疑いましたもの」

―― すごい殿様商売ですね。

佐藤「すごいですよね。ゲームメーカーとして “アニメ化もされたヒット作がある”という看板料だと思えば……と、すごく悩んだみたいです。アニメ化を機にコンシューマー化や全年齢版、グッズだと、全体で収益を上げれば回収できるだろうとも考えたみたいだし、そもそもゲームがヒットしていて、資金もあったみたいで」

―― ……結局、アニメにはなったんですか?

佐藤「なった。ただ、最終的にどれぐらいメーカーが持ち出したかはわかりませんけど」

―― 成人向けは足元を見られちゃうんですかね。一方で、「みなとそふと」みたいに、ひょいひょい作品がアニメ化されているゲームメーカーもありますが。

佐藤「企画をどう考え出して、どうアニメメーカーとやり取りしているか、全くわらかないけど、あれはタカヒロさんをはじめ、みなとそふと上層部がやり手なんだと思います」

――『君が主で執事が俺で』『真剣で私に恋しなさい!』、あと1月放送開始の『少女たちは荒野を目指す』。『荒野』はエロゲーじゃないけど、既に3本ありますね。

佐藤美少女ゲームだとその3本ですが、脚本や構成であるとか、マンガの原作に携わったりとか、かなりの数のアニメやゲーム、マンガに携わっているじゃないですか。やっぱり、映えるキャラクターやストーリーを考えるのがうまいんでしょう。アニメメーカーのプロデューサーや出版社の編集者が求めるものを、パッと形にできるんでしょうね」

■同じような学園モノで似たHシーン、売りは水増しシナリオ…

 

―― さて、無理にでも締めの方向に行こうと思いますが、ざっくり、エロゲー業界の未来は明るいものですか?

佐藤「……エロゲーそのものの未来はどうかなぁ……。というのも、連載の第1回目でも触れましたけど、エロ以外の部分で勝負できる大手の人たち、例えばLeafの人たちはコンシューマー、全年齢向けのゲームをアクアプラス名義で作っているし、大手はそうやってどんどん一般・全年齢の方向に向かっているのが現状です。そりゃアクアプラスであるとか、一部のスタークリエーターには光が当たっているけれど」

―― では、たとえば虚淵玄さんが「久々にエログロをやりたくなったんで、来年はエロゲーのシナリオ書きます」と言い出してくれれば、売れますかね?

佐藤「注目度は段違いですし、話題作になるのは間違いないでしょう。ただそれで業界全体が活気づくかといえば疑問です。その作品自体は売れるでしょうけど」

―― つられて『沙耶の唄』とか、まとめて買ってくれればいいんですけどね。

佐藤「そういうユーザーは減りましたね……そもそも今のエロゲーは”ユーザーの意見を取り入れました!”というメーカーが多いから、どのゲームでも似たエロシーンが続いて出てくるし、やたらと学園モノばかりで」

―― アニメもラノベも、学園モノが目立つ気がします。

佐藤エロゲーもそうなんです。同じ学園モノでも他メーカーより”ここがすごい!”というのがあればいいんですよ、”うちの塗りは世界一エロい!”とか、変わったシステムを採用しているとか。でも結局のところ、あまり変わり映えしない作品が並んで、売りは水増しした長いテキストと大量の差分イラスト、フルボイスにOP主題歌。どのメーカーもやっていることなので、特長として売り出すには厳しい。でもね、これはメーカーの責任だけじゃないんです。スポンサーや流通が、そういう流行を求めている節もあるんですよ、定番のものを作ってくださいと」

―― その方が売り上げの予想が立てやすいから、流通としてはやりやすいんでしょうね。

佐藤「そう! 流通に中小メーカーは逆らえない部分もあるから。でもこう似たようなタイトルばかりが並ぶと、食い合っちゃうから売り上げは伸びないですよね。会社を回すための作品があるのはしょうがないんですが、どこかで自分たちだけの武器を磨いて勝負をかけた作品を作らないと、いつかはガタがくるし、生き残れない。大手に成長するようなメーカーはしっかり牙を研いでますよ。それに大手になっても、熱いメーカーもまだ残ってはいて、オーガストやナインテイルとかは個人的に注目しています」

―― それは、どういった点が他社と違うのですか?

佐藤「停滞を良しとせず、変化し続けようとしているところ。180度違う製品を作ってしまうとファンは離れてしまうかもしれないけど、従来のファンの満足度を落とさず、でも会社(自分たち)が成長するためのチャレンジを、新作のたびにしている節があって。それが成功しているかどうかはわからないし、これはメーカーから聞いた話ではなくて、ゲームをプレイして思ったことなので、自分の思い込みかもしれないんだけどね。でもそういった姿勢が感じられるところが良いなと」

―― 現状に満足しない精神があって、一点突破を図れる武器を持っていると。

佐藤「そう。で、そういうメーカーが、定番の学園ものを作ると、すごく面白くなるんですよね。入り口としては入りやすいんですけど、一つとんがっているところがあるという。そういうゲームを作ろうとしいてるメーカーさんはほかにもいるので、下火になってしまっているとはいえ注目してほしいし、一応業界の端っこにいる人間としては、それをお手伝いできればと思います」

 散々愚痴りながらも、酔いもあってか、最後は熱く語ってくれた佐藤氏(仮名)。業界全体としては景気が悪くても、面白いゲームを作っているメーカーもあるし、”18禁”でないと出せない魅力もあると思うのだ。さまざまなしがらみもあろうが、一ユーザーとして、業界の皆さんを応援していきたい。

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