クズ人間の一途な愛に思わず感涙! かなりマイナーなアメコミヒーロー『デッドプール』が世界で大ヒット

2016.05.31

一人称が「俺ちゃん」という、かなりのウザい系ヒーロー『デッドプール』。

 社会的モラルも責任感のかけらもない、どーしようもないクズ人間なんだけど、惚れた女のためなら自分の身を捧げてみせる。ダメ男のなけなしの純情ほど、泣かせるものはない。風邪をひいて寝込んだとき、勝新太郎に懸命に看病されたことを振り返る中村玉緒の瞳は、とてもキラキラと輝いている。大麻騒ぎや借金地獄を招き、トラブルメーカーの烙印を押された勝新だが、芸事と嫁に関しては純情すぎるほど純情だった。アメコミ映画『デッドプール』の主人公ウェイドも普段は自分のことしか考えない自己チュー野郎で、およそ正義の味方らしくない。でも、そんなダメヒーローが愛する女のために戦う姿に全米が感動し、本国だけで3億ドルを突破。R指定作品としては、世界最大級のメガヒット作となっている。

 アメコミヒーローといっても、赤いマスクを被ったデッドプールは、同じマーベル系のスパイダーマンやウルヴァリンに比べて、かなりマイナーな存在。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)ではヴィラン(敵キャラ)として登場するも、ウルヴァリン兄弟の引き立て役で終わっている。しかも、おしゃべりキャラという設定なのに、最期は口を縫い付けられて無言で戦わせられるという悲惨な経歴の持ち主。そりゃ、ひねくれた性格にもなるよなぁ。主演のライアン・レイノルズはスカーレット・ヨハンソンの最初の夫として名を知られていたが、晴れて代表作を手にすることができた格好だ。

酒場で出会ったヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)はビッチだけど、超いい女。

 スーパーヒーローの噛ませ犬役から、タイトルロールに抜擢された本作のストーリーはこんな感じ。特殊部隊の傭兵として紛争地で活躍したウェイド(ライアン・レイノルズ)だが、米国に帰還後はゴロツキとして過ごしていた。自分より悪いヤツを叩きのめして、酒代をむしり取るというセコい生活。そんなウェイドが酒場で運命的に出会ったのが、娼婦のヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)。お金を払ってのベッドインだったが、セックスの相性がぴったり! お互いに幼少期は家庭に恵まれず、体を張って生きていくしかなかったことも分かる。気が合う2人は一緒に暮らすようになり、ウェイドは結婚を決意。ところが2人の幸せな時間はそう長くは続かない。全身に痛みを覚えたウェイドが病院で診察してもらうと、末期がんであること判明!! 「一緒にがんばろう」と励ますヴァネッサを残して、ウェイドは姿を消してしまう。

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