江波光則『ボーパルバニー2』早く続編書いてくれ! 渇望が襲い来るラスト!

 なんと、これ続編出たんだ! と驚いた江波光則『ボーパルバニー2』(ガガガ文庫)。

 一応、ラノベレーベルから出ているし、ラノベの棚に置いてあるけれども、まったくラノベとは思えない作品である。オビに「夢枕獏氏興味津々!!」と、読んでるのか読んでないのかよくわからない推薦コメントが掲載されているけれども、これはベストな人選。

 系譜としては、夢枕獏の『キマイラ・吼』シリーズとか、『サイコダイバー・シリーズ』に近いような感覚。今、ラノベ読者の上の世代、40歳以上あたりは中高生で夢枕獏の小説を読んで「萌え」とは違う「燃え」を知ったのだと思うが、この作品も同様に、若い読者にラノベが決して、ほんわか楽しいだけではない、だたっぴろい世界だと教えるきっかけになるのだろうと思う。

 さてそんな作品であるが、そもそも2巻が出るのは驚きというよりほかない。なにせ、前作で主人公たちも含む悪党は、ほぼ死んだんじゃなかったか……。どうも作者も続編を描いてしまった自分に驚きを隠せないようで「二巻が出るとは僕にも想像ができませんでした」と素のコメントを描いている。

 そんな驚きの物語は前巻に引き続き、善人など出てこないピカレスクの物語。そして、えらい強い殺人バニーガールが舞う物語だ。驚いたことに、今回は最初から殺しっぷりが半端ない。物語が始まって2ページ目に早くも100人近くバニーガールに殺されてるんだから。

 いやいや、ピカレスクな人生を送ってるんだったらバニーガールに殺されるのは華々しい死のような気もしないでもないが……。

 今回、物語の発端となるのは傭兵部隊が盗み出した30億円相当のダイヤモンド。それを発端として、その違法ダイヤモンドを狙わんとする各組織の欲望が、血の雨を降らせる。今回はバニーガールに加えて、カウガールやら巫女やら、妙な服装だというのに胸糞が悪くなるほど魅力的で残酷、そして強い乙女たちが次々と登場する。

 一歩間違えればギャグになってしまいそうだが、江波の筆致は、一瞬たりとも息をつかせず、正義などない血の雨が降る戦いの世界へと読者を引きずり込んでいく。

 作品の楽しみ方としては、物語の展開を追うよりも、場面ごとの妙な服装なのに脅威の強さを放つ乙女たちの魅力に酔うことであろう。そんな場面に酔っていたら、物語はプツンと切れるように余韻を残しまくって終わる。

 しかも、後書きもなく終わったら即奥付ページというストイックさ。正直、ホントにこれで終わりなのか? この本が不良品じゃないかと思うほど、まだまだ続きを読みたい乾きに襲われる終わりかたなのだ。

 読者の想像の斜め上をゆく畳み方もまた、江波ならではのテクニックといえるだろう。いやいや、これで終わらないでくれ! 早く次を書いてくれよ! 読了後、乾きが止まらなくなる一冊だ。
(文=是枝了以)

ボーパルバニー #2 (ガガガ文庫)

ボーパルバニー #2 (ガガガ文庫)

乙女たちの脅威の強さは圧巻

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