『オトコのコいじり』（BENNY’S）ベテラン作家ゆえの安心の実用感が半端ない！　

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『オトコのコいじり』（メディアックス）

　正直、メディアックスの男の娘作品は、当たり外れが激しい。前にも書いたけど、この書評は誰にも邪魔されずに書くために、基本的に自腹。だから、ハズれを引いたらとてつもなく悔しいのである。

　さて、今回紹介するBENNY’S『オトコのコいじり』は、久しぶりにアタリである。なにしろ、この作者は可愛いとエロいを完全に両立していて、隅々まで実用性が行き届いているのだ。

　それでいて、作品ごとにヒロイン（？）のキャラクターの描き分けが絶妙である。収録作の一篇「ボクのお仕事！」では、従業員が全員「男子×学生」な、ナース専門のお触りバーが舞台。そこで、ヒロイン（？）はかなーり変態な客が溜めてきたザーメンを浣腸されるという、マニアックなプレイをされてしまう。でも、ヒロイン（？）は簡単に堕ちるんじゃなく「早く犯せよ」と生意気におねだりするのである。

　かと思いきや、別の作品「内緒のプール」では、男子であることを秘密にしてるヒロイン（？）がプールの授業でヤラれまくっちゃうのである。当然、バレるのだが「ここが男の子みたいになっちゃう病気」と言い張って、内緒にしてもらうかわりに、自分からご奉仕を。さらに「宅配サンタ」では責めが上手なデリヘル男の娘が登場する。

　これら作品ごとに、ヒロイン（？）の一人称も「俺」とか「わたし」とか書き分けられていて、作者の男の娘ジャンルへの深さが自ずと理解できる。

　何より安心なのは、プレイはハード嗜好なのにストーリーはあくまで明るいこと。基本的に不幸になる展開はないので、あくまで可愛い男の娘がハードにエッチしている展開に集中することができるのである。

　この作者、マンガ家歴はかなり長いベテラン。これまで、男性向けからボーイズラブまでさまざまなジャンルの作品を描いてきているが、昨今連作している男の娘ジャンルで何かに目覚めた感じが半端ない。そもそも、エロジャンルで間もなく20年になろうかというくらい活躍するだけでも称賛に値するのだが、やはりそれだけの実力の持ち主だということだろう。

　いやいや、これからも、このジャンルで作品を量産して欲しいと願って止まない描き手である。
（文＝ピーラー・ホラ）