『制服ロビンソン』 『ラブプラス』の箕星太朗が描く骨太SF

 昨年創刊された「少年マガジンエッジ」(講談社)の連載コミックが、一斉に発売になった。この「少年マガジンエッジ」。一応、カテゴライズは少年誌ということになっているのだが、あくまでカテゴライズ。誌名は「マガジングループの最も外側を行く、とがった作品を掲載」する決意ということなのだが、ガチで掲載作は尖っている。

 今回紹介する箕星太朗『制服ロビンソン』は、尖ったマンガが大好きな層にグッとくる作品である。これまで、箕星太朗と聞いて思い出すのは、数々の作品のキャラクターデザイン。だいたいの人が思い出すのはいろいろと残念なことになってしまった『ラブプラス』のキャラクターデザインであろう。それよりも『ランジェリー戦士 パピヨンローゼ』じゃないのかというコアな意見もあるかもしれないが、とにかく、あのDSを手に一緒に時間を過ごした嫁の創造主が描く作品。いったいどんな作品になるのかと思ったら、物語の根底に流れるのは新たな創造だったので、ちょっと笑ってしまった。

 物語は学園青春物である。でも、単なる学園ものではない。学園があるのは、荒廃した地球である。すでに人類の姿はなく、そこで生きて動いているのは、わずかに8人の男女だけなのである。でも、生きるために食糧を探すようなサバイバルはない。なぜなら、宇宙からコンビニのような補給ロケットが隕石のごとく堕ちてきては、補給をしてくれるから。着る物も食べる物も、はたまた最新のマンガまで、まったく困ることはないのだ。

 そんな世界で過ごしている8人の男女。物語の中で、次第に明らかにされていくのは、かなり昔に戦争があり地球が荒廃したこと。そして、学園で暮らす8人は、冷凍睡眠の後に目覚めたことである。

 断片的に語られる過去……それも100年ほど前に起こった出来事。そこで記されるのは、8人が人類の中から選び抜かれた存在であること。そして、それを選んだのが彼らの教師である標先生だったという事実。その標先生は生徒に慕われ、愛された人物だったようだが、一方で8人を選んだ過程で「ゴミは掃除しなきゃならない」などと呟き、新人類にもっとも重要なカリキュラムは「愛」だと率直に語ったり、ちょっとマッドな自己犠牲精神に溢れた人物であったことが描写される。

 察するに、この第1巻はいわばプロローグ。

 おそらくは、この先は荒廃した地球の中で、人類の再生に向けた愛やら恋やらが描かれていくことになりそうだ。

 まだまだ世界観の提示が主体でヒロインの魅力まで描き切れていないのだが、この先の人物の掘り下げがどうなっていくのかが、気になるところだろう。続刊に期待。
(文=是枝了以)

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