【ヅカヲタ女医の「アモーレ!宝塚ソング」番外編】

ついに東京公演も千秋楽!宝塚版『るろうに剣心』見る、男性医師の「男子的出世欲」と女性の「恋愛メルヘン」理想世界

 しかし、wojoが特に新鮮だと感じましたのは、弥彦が「強くなりてえ!」と叫ぶほどに強くなりたがったり、四乃森蒼紫が最強であることを示そうとしたり、とにかく最強を目指すことが重要、という点です。これまでの宝塚の作品で、「最強を目指す」っていう発想には、あまりお目にかかったことがない気がいたましすもの。これって男子的な価値観なんでしょうか。宝塚向けにカスタマイズされた演出を施されてもなお残った、『るろ剣』ならではの少年マンガっぽさなのかなとも思われました。

 しかし後日、はたと気づきました。もしかして「医学部で教授になりたがる感覚って、こういうことなのではないか?」と。自分が所属する男性社会の中でトップに立ちたい、すなわち「一番強くなりてえ!」の気持ちは、これなのではないか。ほかにも、「病院で一番中心静脈カテーテルを入れるのがうまい」と言われると喜ぶ某男性医師、「一日に診察している外来患者が病院で一番多い」と言われると喜ぶ某男性医師……彼らの喜びの理由があまりよくわからなかったまま女医生活を送っていたwojoですが、なんとなく薄光が差して、彼らのメンタリティに少し寄り添えたような気がいたします。

 普段宝塚で、「蝶よ花よ」「背徳の恋」「一世一代の愛」といった、女性にとっての極端な理想世界しか見ていないと、なかなか通常の男子のメンタリティって接する機会がないのかも、と反省した次第です。ありがとう、『るろ剣』。男性医師が大部分を占める医局でうまくやっていくコツを、ひとつ伝授された気がいたしました。

 しかし、同じくマンガが原作の『ルパン三世』が宝塚雪組で上演された時にも思ったのですが、宝塚の方々って、マンガやアニメのキャラクターを演じるのが本当にお上手です! 『るろ剣』に出てくる齋藤一はwojoの周囲で「格好よすぎる!」と話題になっておるほか、武田観柳役も原作よりかわいらしい感じでお上手でした! ただでさえ素敵なスターさんたちがピタッとキャラクターにはまられると、なんともいえない魅力を醸し出されますよね。

 宝塚の機関誌「歌劇」などで、スターさんたちがオフに『セーラームーン』や『ONE PIECE』のキャラに扮しておられるお写真がたまに小さく載っていますが、どれもこれもクオリティーが高すぎます。とくに星組スターさんたちが舞台裏で扮装されていたという『ONE PIECE』なんて、そのまま舞台に上がってもなんの問題もないんじゃないか! というくらいでした。

 なのでぜひ次は……『ONE PIECE』をお願いしたいです、小池先生! 少年マンガの天真爛漫さ、たまには宝塚にいいのかも。少年のココロ、せっかくだからもっと理解したいです。男子のメンタリティを理解できたら、wojoにもいつか春がやってくることがあるのかもしれない……。宝塚歌劇団様、wojoの明るい未来のためにもよろしくお願いします。

wojo(ヲジョ)
都内某病院勤務のアラフォー女医。宝塚ファン歴20年で、これまでに宝塚に注いだ“愛”の総額は1000万円以上。医者としての担当科は内科、宝塚のほうの担当組は月組。

wojoが医学生だった頃、「こんな素敵な方が宝塚にいらっしゃったとは!」と(一方的に)運命の出会いをした月組の龍真咲さまが、2016年9月4日をもって宝塚をご卒業されることになりました。退団会見で「結婚準備です」とお茶目におっしゃり、ヤフーニュースの見出しが「結婚準備!?」などというポップなトーンになったのは記憶に新しいところです。医学部6年生の夏には某地方都市で行われた龍さんご出演の公演に通ったものの、余裕がなさすぎて幕間に『クエスチョン・バンク』(国家試験の問題集)を解いたなとか、医者になり落ち込むことがあっても龍さんの凛とした生き方に勇気をもらって頑張れたなとか、これまでの思い出が走馬灯のように私の脳裏を過ぎ去りました。宝塚最後の日まで、全力で応援させていただきます! さよならパレード用に、白いスカートや靴を買わなくてはです。

ついに東京公演も千秋楽!宝塚版『るろうに剣心』見る、男性医師の「男子的出世欲」と女性の「恋愛メルヘン」理想世界のページです。おたぽるは、その他演劇の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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