【特撮・特撮&ロック】

モノブライト出口博之の特撮自由帳(1)『仮面ライダーゴースト』

2016.05.08

モノブライトのベース・出口博之

 皆さんはじめまして、モノブライトのベース、出口です。
 このたび、オタクニュースサイト「おたぽる」で特撮についての記事を寄稿することになりました。内容は「いち特撮ファンが作品を見て感じたこと」を軸に、新旧さまざまな特撮作品を取り上げていこうと考えております。同じ特撮ファンの方はもちろん、「特撮って面白いの?」という方まで、これからよろしくお願いします。

 最初に取り上げる作品は現在放送中の『仮面ライダーゴースト』(以下、『ゴースト』/テレビ朝日系)、この作品ならではの面白さと特異性について「視聴して感じたこと」を中心に考察したいと思います。

・「高いテンションを維持する、異常な展開の速さ

 物語冒頭で死亡した主人公・天空寺タケルが生者としてよみがえるには、偉人の魂が宿った15個の眼魂(アイコン)を99日以内に集めなくてはいけない。昨今の特撮作品ではあまり描かれないかなり衝撃的な幕開けが印象的ですが、この導入は非常に合理的に「ヒーローになる理由と戦う理由」が描かれています。

「なぜか戦いに巻き込まれ、なし崩し的に仮面ライダーになってしまう」パターンではなく明確に目的と達成期限が決められ、眼魂の争奪戦も絡んでくることから、とにかく1エピソードごとの情報量が多く、物語がどんどん進みます。
 やや性急に感じる部分もありますが、物語が進まざるを得ない状況は登場人物の心の成長を促し、毎週「最終回直前か!」というテンションのインフレが起こります。

 作品の序盤というのは人物の紹介(戦う理由や取り巻く環境)やガジェットの使い方、フォームチェンジなど「毎回同じ展開」に陥りやすく序盤で飽きてしまうことがある中、『ゴースト』は諸々の紹介を有機的に物語の展開に組み込み(最初に主人公が死に、復活のために眼魂を集めて戦う、という絶対的な存在意義がある)、同じ展開が意味のある行動につながり物語を先に進める形になっています。

 しかし、異常なテンションの高さとテンポの良い展開は、どう考えても「99日という期限と放送期間の計算がまったく合わない」こと、「集めなければならない15個の眼魂が出揃ってしまう」事態を招き、個人的にとても心配になりました。日数の消化具合を見るに、大体1クール(およそ3ヶ月)で99日目、最終回が訪れてしまう。

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー