マンガはまだまだ売れる!? 出版不況の荒波を迎え撃つカリスマ書店員“仕掛け番長”に訊く「マンガの売り方」

■「高木ユーナ先生は表現や見せ方の上手さが今のマンガ家の中でズバ抜けてる人」

――そんなマンガの流行りを熟知された番長に、今オススメのマンガ・ベスト5を教えていただきたいです。

1604_kurimata_07.jpg『EXTREME SUMMER SHOOTER’S!』(著:わたい/泰文堂)

栗俣 今回は個人的なオススメで選ばせてもらって、第5位は『EXTREME SUMMER SHOOTER’S!』(泰文堂)です。WEBコミック「GANMA!」で連載されている作品です。主人公は未来が見える能力があってAルート・Bルートの未来が見えるんですけども、見ることを選んだルートの未来には絶対行けないんです。作者のわたい先生がゲーム会社でゲームを作っていた方で、内容も画もゲーム的な見せ方をしていて、それが30代にはすごくハマるというマンガになっています(笑)。さらに、ネットでは描けなかったシーンをマンガで全部描き下ろしていますので、連載と読み比べてみるのも面白い作品になっていますね。

――第4位は『ぐらんぶる』(講談社)。

1604_kurimata_08.jpg『ぐらんぶる』(著:吉岡公威/講談社)

栗俣 もうかなり売れている『ぐらんぶる』は、ダイビングものなんですが、ダイビングが2割、飲みが8割ですね。単純にホントに飲んでるだけで内容の大半は服脱いでるマンガなんですけど、これが面白いっていう(笑)。原作者がライトノベル『バカとテストと召喚獣』の井上堅二さんで、よく言われているのが『バカとテスト~』の主人公2人(吉井明久、坂本雄二)がそのまま大学生になったらこんな感じだよねっていうのを見せているマンガなんですよね。やっぱり井上先生はホントこういう作品を書かせたら右に出る者はいないですよね。たまに、あるアツい展開とかも上手くて、そういうところもちょっとジーンと来るような。

――第3位は『吸血鬼すぐ死ぬ』(秋田書店)。

1604_kurimata_09.jpg『吸血鬼すぐ死ぬ』(著:盆ノ木至/秋田書店)

栗俣 今ちょうど腐女子の間で流行り始めているマンガで、単純に主役の吸血鬼がすぐ死ぬだけの話なんですけど。すぐ死んで、また生き返るっていう。これは連載が始まってすぐ、Twitterでも腐女子の触手にひっかかってブームになりました。今後伸びる可能性が高い。また腐女子うんぬん以上に、昔ながらの「週刊少年チャンピオン」的なギャグマンガという感じもあって、昔のくだらないギャグマンガを見て大笑いしたい人はもうこれを読んでほしい。ほんとチャンピオン系の作品はこういうショートギャグが上手いですよね。

――そういえば腐女子的なヒットの要素、BL的な要素に対するアンテナっていうのは栗俣さんにはあるんですか?

栗俣 「まぁこれは好きだよね……」みたいのは、だんだんわかるようになってきますね(笑)。最近の作品で感じたのは「週刊少年マガジン」連載中で1巻目が出た『てのひらの熱を』(講談社)です。空手マンガなんですが……まぁ~たぶん腐女子は好きかと。完全にヒットしますよアレ。絶対純粋に作ってて、絶対そこの層を狙ってないし、スゴくアツい少年マンガでめっちゃ面白いんですけど……あの、うん、完全に腐女子にウケるだろうと(笑)。

――チェックしたいですね(笑)。第2位は『ドルメンX』(小学館)。

1604_kurimata_10.jpg『ドルメンX』(著:高木ユーナ/小学館)

栗俣 高木ユーナ先生の新作で、やっぱりアツくて良いマンガに仕上がってましたね。内容的にはアイドルを目指す宇宙人の話っていう、ちょっととんでもない内容なんですけど(笑)。地球を侵略しにきた宇宙人が「アイドルになれば地球侵略できるのでは?」みたいなことを考えてアイドルを目指すんですが、その中でどんどん本気になっていって。アニメやマンガ原作の2.5次元舞台で活躍する実在の俳優さんもどんどん出てきて、その中で彼らが成長していく物語です。ユーナ先生は何回も会わせていただいていて、デビュー作『不死身ラヴァーズ』(講談社)の1話目のゲラを連載前に読ませていただいたんですけど、その時からもう面白くて、この人はどっかで絶対ヒットするだろうと思って追いかけています。たぶん普通の少年マンガを描いてもめっちゃ売れる人だと思っています。表現とか見せ方とかが上手いんですよ、ストーリーの構成とか。それはたぶん今のマンガ家さんの中でズバ抜けてる人だと思います。

――では、第1位は。

1604_kurimata_11.jpg『鮫島、最後の十五日』(著:佐藤タカヒロ/秋田書店)

栗俣 第1位は、佐藤タカヒロ先生のバチバチシリーズ最終章『鮫島、最後の十五日』(秋田書店)を挙げさせていただきます。『バチバチ』『バチバチ BURST』に続く三部作目なんですけど、今あるマンガの中で一番アツくて一番泣けます。過去2作もめちゃめちゃ面白いんですけど、この『鮫島~』に関しては毎回最終回かくらいな面白さが入っていて、鮫島自身も毎回死ぬ気で戦っている。作家さんもそれを本気で描いている。人気キャラクターも2つめの話でもう引退させちゃうとか、「こんな話、ここで出しちゃっていいの!?」ぐらいな。出し惜しみ、まったくないです。よくこのレベルの話が続くなって。1つ1つの話で、1つの連載作れますね。今一番面白いマンガだと思います。

ドルメンX 1 (ビッグコミックス)

ドルメンX 1 (ビッグコミックス)

2.5次元舞台オタは必見かも。

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