ギャグ漫画は人気を極めれば極めるほどその寿命は短くなるが、赤塚不二夫作品の生命力の強さには驚嘆させられる。『もーれつア太郎』の脇役キャラだったニャロメは全共闘世代のシンボルとして人気を集め、『ひみつのアッコちゃん』は現在も続く“魔法少女”シリーズのルーツとなった。代表作『天才バカボン』がフロッグマンによってリメイクされた劇場アニメ『天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬』(15)も記憶に新しい。さらに深夜アニメ『おそ松さん』(テレビ東京系)は社会現象と呼ばれるまでの大ヒットに。晩年の赤塚不二夫はアルコール依存症で入退院を繰り返したが、彼が生み出したキャラクターたちは今も元気に悪ふざけ三昧を繰り広げている。
数々の大ヒット作を残した天才漫画家・赤塚不二夫の生涯を追ったドキュメンタリー映画が『マンガをはみだした男 赤塚不二夫』だ。『乱暴と待機』(10)や『ローリング』(15)といったシニカルなコメディ映画で知られる冨永昌弘監督が、赤塚不二夫の72年間の足跡を貴重な映像資料、愛娘・赤塚りえさんや妹・梅原寿満子さんら肉親、歴代アシスタントらへのインタビューによって振り返っている。『おそ松さん』の藤田陽一監督も色褪せない赤塚作品の魅力について語っている。赤塚作品の最高傑作に推されることの多い『レッツラゴン』のキャラクターたちが赤塚の生涯を紹介するMCを務めるアニメーションドキュメンタリーとなっている点もユニーク。オープニングの3Dアニメ化された『ロボット版バカボン』から一気に、過激に継承されている赤塚ワールドに引き込まれていく。
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