“VR酔い”解消へ向けて各社凌ぎを削って開発中のGVS技術とは?

■Samsungの“VR酔い”防止ヘッドホン「Entrim 4D」

 かならずしも“次世代型”ではないが、スマホ画面を活用したVRゴーグルであるGear VRを一足先に、昨年末から発売しているSamsungもまた、“VR酔い”対策には力を入れている。

 先の3月11~15日に米・テキサス州オースティンで開催された世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル「SXSW 2016」で、Samsung Electronicsは、Gear VRと組み合わせて使用するヘッドフォン「Entrim 4D」のプロトタイプを発表した。このEntrim 4Dを併用することで、映像の臨場感が増し、なおかつ“VR酔い”を緩和できるということだ。

「Entrim 4D」紹介動画 「Samsung Newsroom」より

 このEntrim 4Dが機能する原理も前出のvMocionの技術と基本的には同じで、名前のほうも同じGVS(Galvanic Vestibular Stimulation)技術と呼称されている。ヘッドホンを装着すると耳の後ろの部分に電極が当たり、そこから微弱な電流を流し前庭器官を刺激し、視覚と身体感覚を同調させてVR環境への没入感を高めるとともに、“VR酔い”を防止している。

 メイヨー・クリニックのGVSは宇宙開発分野から派生した技術である一方、SamsungのGVSは、前庭機能障害(vestibular dysfunction)の治療を研究する、医療の分野からもたらされた技術であるということで、名前と原理が同じでもそのルーツが異なっている点が興味深い。

「VRは視覚だけの体験であるべきではないのです。このEntrim 4Dを使って、VRを世界を“丸ごと”体験してもらいたいと考えています」とクリエイティブリーダーのスティーブ・ジュン氏は同社のニュースリリースで語っており、現在はこのプロトタイプよりも電極棒を増やした新バージョンの開発に取り組んでいる。このEntrim 4Dも製品化の時期はまだ未定だが、こうして各社凌ぎを削るGVS開発競争が明らかになったこともあり、意外に早く市販化されてくるのかもしれない。
(文/仲田しんじ)

【参考】

・Tech Times
http://www.techtimes.com/articles/145949/20160401/afraid-of-vr-headsets-because-of-nausea-motion-sickness-mayo-clinics-gvs-might-be-the-answer.htm

・The Verge
http://www.theverge.com/2016/3/14/11220836/samsung-etrim-4d-headphones-movement-vr-inner-ear

“VR酔い”解消へ向けて各社凌ぎを削って開発中のGVS技術とは?のページです。おたぽるは、コンシューマーゲームゲームの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!