『ハッピーシュガーライフ』美少女と美幼女の甘々同居生活は、狂気と紙一重の真実の愛に包まれて!? 純愛サイコホラー

 まずはじめに、第1巻の表紙のピンクの髪の女の子のアップが目を引く『ハッピーシュガーライフ』(作:鍵空とみやき/スクウェア・エニックス)。彼女は主人公の松坂さとうなのだが、表紙だというのに既に目が死んでいる、というか狂っているようにも見える。噂では、尻軽で男を取っ替え引っ替えで、頼めばすぐにヤらせてくれるビッチだったとか。しかしある日突然さとうは親友のしょうこに「心に決めた人ができたから、そういうことはやめる」と打ち明ける。さとうが帰宅したマンションには、一人の幼い女の子・しおがいた。そう、彼女がさとうの言う「心に決めた人」だったのだ──。

 しかし、2人で暮らしていくにはお金が必要。さとうはメイドカフェのバイトを増やして頑張るが、その表面的な可愛らしさゆえに、バイト先の店長と先輩からいじめを受ける。それでもバイトを懸命に続けられるのはしおがいるからこそ。初めて受け取ったアルバイト代が、自分の計算と違うと店長に相談に行くと、愛がどうこうと説教を受けた末に、店長はこの店は自分の愛の王国なのだと言う。しかし真実を見抜いたさとうの追求に、次第に声を荒げていく店長が気づいた時には、さとうの手に握られていたスマホの録画が回っていた。それでもさとうはことを荒げることはなく、「ちゃんとお給料、払って下さいね」と言って去るのだった。あの死んだ目で。

 さとうは愛されたことがなかった。愛を囁かれたことなら何度もあったが、心から愛されたことも愛したこともなかった。だからこそ、周囲の人間の本質を見抜く目が養われたのかも知れない。しかし、しおと出会ったことによって、本当の愛の味や幸せの甘さを知る。一方で、さとうはマンションの一室を開かずの部屋にしている。その中はしおも見ることはできない。物語を読み進めていくと、その部屋が何なのかわかってくるだろう。そう、この『ハッピーシュガーライフ』は「純愛サイコホラー」とジャンル分けされているように、ただの女子高生と幼女の可愛らしいイチャイチャ生活ばかりを、描いているわけではないのだ。

 やがて、しおには記憶が欠落している部分があって、彼女を探している者がいると明かされる。ストーカーや怪しい人間には敏感なさとうなので、いくつもの困難を乗り越えてしおとの生活を保とうとするのだが、しおが勝手に部屋を出てしまった日に、彼女を連れ帰る姿を目撃されてしまう。このままではさとうはしおとの甘くて幸せな日々を維持できなくなってしまう──! 果たしてさとうはしおをどうやって守り切るのだろうか? 開かずの部屋の「ゴミ」の処理もしなくてはならないし、お金も稼がなければならない。見た目が可愛らしいさとうだけに、汚れた人間を見下す目は恐ろしい。真実の愛は試され、狂気と紙一重のものでもある。

 この『ハッピーシュガーライフ』が、単純に女子高生と幼女の百合がテーマだと思っていたら大間違いである。さとうは汚いもの、苦いものには容赦しないのだ。その強さはすべてしおとの生活を守りたいという一心からきたものだとしても、あまりにも度が過ぎている。まだ物語は始まったばかりだが、さとうの狂気じみた愛は周囲をも狂わせてしまいそうだ。そして謎の少女・しおの身元とは?! さとうからしおを奪う者が現れた時、さとうはどんな手段に出てしまうのか。まったく先が読めないだけに、目が死んでいる時のさとうが勇ましくも思える。
(文/桜木尚矢)

『ハッピーシュガーライフ』美少女と美幼女の甘々同居生活は、狂気と紙一重の真実の愛に包まれて!? 純愛サイコホラーのページです。おたぽるは、漫画マンガ&ラノベ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!