“耳をすませて”スリルを味わうホラーアドベンチャー『Perception』に期待！

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■健常者と障がい者のわけ隔てを無くす「IAI」技術とは

『Perception』は、あくまでも主人公が視覚障がい者であるという設定のゲームなのだが、実際に視覚障がい者の方向けのゲームも登場しているので、この機会に紹介したい。

　イギリスのソフトウェア・エンジニアのセルウィン・ロイド氏が、眼球がんで左目の視力を失った愛娘のために作り上げたのが『JumpinSauceRS』（iOS版、Android版）という、視覚障がい者も楽しめるゲームアプリだ。このゲームの制作を可能にしたのは3Dオーディオ技術にほかならない。

「彼ら（視覚障がい者）は宇宙船がどこにあるのか、耳を使って“見る”のです」と、セルウィン・ロイド氏は「Express」紙の記事で語っている。そしてロイド氏が目指しているのは、決して視覚障がい者向けに特化したビデオゲームではなく、広く健常者にも楽しめるビデオゲームだ。

「3Dオーディオ技術とコンピュータグラフィックスをうまく取り込むことによって、これまでのゲームの常識を打ち破り、文字通り誰もが楽しめるゲームを作りました」（セルウィン・ロイド氏）

　本作の開発に伴い、健常者と障がい者のわけ隔てを無くすIT技術（Inclusive Accessible Intelligence technology）を開発・推進するためのスタートアップベンチャー、Audazzleが創設された。そして同社は『JumpinSauceRS』を無料で公開する一方で、あえて有料版も用意して今後のサポートを呼びかけている。

　ひと頃、文化や老若男女の違いにかかわりなく利用できる施設や製品、情報のデザインである「ユニバーサルデザイン」に注目が集まったが、現在はITの分野で障がいに関わりなく誰もが情報にアクセスできる設計思想「Inclusive Accessible Intelligence（IAI）」が脚光を浴びているようだ。そしてこのIAIがビデオゲームにも影響を与えるとなれば、また新たな可能性が拓けることになり、今後の展開が興味深いものになる。
（文／仲田しんじ）

【参考】

・Polygon
http://www.polygon.com/2016/3/25/11305420/perception-the-deep-end-games

・Express
http://www.express.co.uk/finance/city/627283/3D-video-game-blind-sighted-players-together

 
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