あの作品との再会+先生のイイ人っぷりに感涙 祝!永野のりこ『GOD SAVE THE すげこまくん! ベストセレクション』刊行+原画展

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 3月も様々な本を読んだわけだが、その中でも至宝はこれ、永野のりこの超名作『GOD SAVE THE すげこまくん! ベストセレクション』(復刊ドットコム)である。

 この作品は説明するまでもない『みすて・ないでデイジー』と並ぶ永野先生の代表作である。数々の作品で知られる永野先生であるが『GOD SAVE THE すげこまくん!』は、掲載誌が「ヤングマガジン」だったこともあり、特に多くの人が知っている作品だろう。

 しかし、講談社から出ていた単行本も、現在は絶版。このままでは、この名作が忘れられてしまうのではないかと不安になっていたところに、うれしい復刊である。しかも、未収録作も入っているというから、歓びは倍増だ。

 永野作品の魅力は、なんといってもコミュ障で傷つきやすい主人公キャラ(だいたい白衣とか説明しなくてもいいよね?)。それが、聖母のようなヒロインに、妙ないじめとか歪んだ愛情を繰り返す中で、なんらかの形で救済されていくのがよいのだ。この作品力ゆえか、ボブカットの女のコほどキレイなものはないと思って生きております。

 いやいや、多くのファンがいる中で、あえて解説するのは失礼である。むしろ、今語るべきは発刊を記念して開催された『永野のりこ ここで個展《あなたのいた惑星(ほし)》』についてである。

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 この個展は、永野先生の原画をはじめとする作品を惜しげもなく展示するもの。筆者が、ようやく訪問が叶ったのは最終日。こうした催しは最終日は混雑するのが当たり前。でも、会場に入って驚いたのは、最終日とはいえ、平日の日中に信じられないほどの来場者が訪れていたこと。

 そして、来場者はほぼ全員が単行本をはじめ、原画などの物販を購入して、永野先生の前に列をなしているのである。こうした原画展で、作者がいるのは当たり前だし、当然サイン本も販売している。ところが、永野先生は、来場者が購入した商品に一から名前を入れ、絵を描き、メッセージを入れているのだ。

 それも、ひとりひとり丁寧に言葉を交わしながら。

 この破天荒な作風とは真逆の丁寧な姿こそ、マンガ家・永野のりこの真骨頂。実は、筆者が初対面の時、永野先生は名刺を持っていなかったのだが、数日後に丁寧な手紙とともに名刺が郵送されてきたことが。

 今回も「お客さんが来なかったどうしようと思っていた」と語る姿に、さらなる感動を禁じ得なかった。

 おそらくは来場者のほとんどが、食い入るように何度も読み返したであろう作品の生原稿で埋め尽くされた会場での、濃密な交流の時間。会場には、三次元になったデイジー(註:読者ならご存じ、先生の令嬢・NOZOMIさんであります)も登場し、幸せな空間をつくっていた。

 でも、やっぱり名作揃いの永野作品の多くが絶版になっている状況は許せない。どこぞの出版社の英断に期待しているぞ!
(文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/)

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