“自分の個性より作品がフィーチャーされる作り方をしていきたい” 「SUGOI JAPAN Award2016」アニメ部門1位『四月は君の嘘』イシグロキョウヘイ監督インタビュー

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――『四月は君の嘘』は、イシグロさんの奥様である愛敬由紀子さんがキャラクターデザインを務められていますが、奥様は今回の受賞についてどのような反応をされていましたか? イシグロ すごく喜んでいました。作画の現場に入ってから、デザイン作業を含めると2年間くらいは一緒に仕事していたんですが、その間に結婚もして、お互いがどういう苦労をしてきたかっていうのがわかるわけですよね。それで今回、このようなかたちで視聴者のみなさんに選んでもらえたということに関しては、互いの苦労を分かち合う意味でも「良かったね」と。二人の間では、作品が評価されることに関して「うれしい」というより「良かった」と言うことの方が多いような気がします。その感想は作品に関して一歩引いた見方ではありますが、それはそれで良いんじゃないかなと思いますね(笑)。 ――制作中は、奥様と家でも仕事場でもずっと一緒にいた感じだったんですか? イシグロ そうですね。スタジオに行く時間がばらばらだったりもしたんですが、四六時中一緒にいました。自分の奥さんや旦那さんと一緒に仕事をすることを嫌う人もいると思いますが、僕は素性がわかっている分、仕事がしやすかったです。そもそもこの作品のキャラクターデザイナーに彼女を推薦したのは僕なんですよ。個人的な感情や関係性とかは抜きにして、新川先生と彼女の画の親和性はもともと高いなと思っていたんですよ。それで僕の方からアニプレックスの斎藤(俊輔 ※『四月は君の嘘』のプロデューサー)さんに提案させていただきました。斎藤さんも彼女とはもともと顔見知りで、どういう画を描くのか、どういう人間なのかっていうのがわかっていたので、デザイナーに抜擢することに迷いはなかったようですね。 ――今回、「SUGOI JAPAN Award2016」のアニメ部門で投票対象作品が23作品ありましたが、もしイシグロさんが投票するとしたらどの作品を選びますか? イシグロ 僕は『SHIROBAKO』(TOKYO MXほか)ですね。『SHIROBAKO』はちょうど『四月は君の嘘』と同時期に放送していたので、忙しいながらも気になっていたので見ていたんですが、ドラマの描き方が秀逸ですし、群像劇をうまくからめていくところは、「やっぱり水島(努)さんはうまいな」と思いましたね。 ――水島努さん以外にあこがれている監督さんはいらっしゃいますか? イシグロ いっぱいいるので、一人に絞るのは難しいんですが……、一人だけを挙げるとしたら、やっぱり僕の師匠である渡辺歩監督ですね。渡辺さんはもともとアニメーターで、それも凄腕アニメーターだったんですが、そこから演出側に移ったんですよね。僕の印象では、作画をする人が監督をすると「画」に固執することが多いという印象があるんですが、渡辺さんは自分でもすごく画がうまく描けるにもかかわらず、“スタッフを信じて、委ねる”という演出方法をとられています。僕は渡辺監督と一緒に仕事していた時に、それを肌で感じてたんですよ。だから僕もほぼそれをまねて監督をしているような感じがありますね。もちろんまだまだ全然追いつくことはできないんですが、目標、あこがれ……、渡辺さんに関してはいろいろな思いがありますね。 ――最後に、今後の意気込みを聞かせてください。 イシグロ 体力の続く限りがんばり続けて、より多くの作品を残していきたいと思っています。ただし、自分の個性がフィーチャーされるよりも、作品自体がフィーチャーされるような作り方を心掛けたいです。こんな格好をしている僕がいうのもおかしいかもしれないですが(笑)、制作側の顔が出ると、作品にとってマイナスになる部分もあると思うんですよね。だから、そういう作り方をこの先もずっと続けていきたいと思っています。 ――ありがとうございました。 (取材・文/小林ぴじお)

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