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【劇場特撮レビュー】多少の演出下手やバランスの悪さもなんのその! 気迫あふれる藤岡弘、が示す貫禄と男気たっぷりのライダー道!!

2016.03.26

 ギャグということでは、ついこの前の正月の『仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス』(15)における片岡鶴太郎と竹中直人のモノマネ掛け合いは絶妙のブレイクタイムだったが、今回は藤岡弘、と竹中直人を絡ませての“何か”があってもよかったような気もしてならず、ここでもやはりバランスの悪さを痛感させられてしまう。

 EDの『仮面ライダー』主題歌も、歌っているRIDER CHIPSが悪いとは言わないが、ここはやはり最初の10話まで使われていた藤岡弘、ボーカル・バージョンを使うべきではなかったか。

 しかし、こういった数々のマイナス要素がありながら、いざ本郷猛が変身を始めてしまうとすべてがチャラになり、鳥肌が立つほどの感動に包まれてしまうのが、藤岡弘、の貫禄そのものであり、さらには若き日の猛と立花藤兵衛が並んだ写真のアップが、銀幕に映し出されたときの感動たるや、涙を禁じ得ないものがある。

 本郷猛を仮面ライダーゴーストことタケルがちゃんとリスペクトしながら話が進むのも、ちょっとした師弟関係的な味わいが満ちあふれていて心地よい。

 要するにこの作品、映画としての不満は多々ありながらも、藤岡弘、が全身全霊で体現するライダー道の気迫と貫禄と誇りを見るだけで入場料金のもとが取れるという、その意味では東映らしいスター映画に仕上がっているとはいえるだろう。

 たまたま同時期に公開される『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』にしても、ついに海の向こうのヒーローまで『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』(99)みたいなテイストに触れてしまったかという嘆息の想いに包まれてしまうものがあるのだが(逆に、日本のほうがとうの昔に正義とヒーローに対するリアルな意見具申を成している事実は誇っていい)、そんな中で本作が45年の歴史に裏打ちされたヒーローの原点回帰を描出させているのは、個人的にほっとするものがある。

 しかし、ライダー道の精神を説くには、やはりそれなりの技術とセンスが必要なのだ。

 もう少し何とかならなかったのか?

 これが幼い頃からリアルタイムで『仮面ライダー』にずっと接し続けてきたガキ親父の偽らざる本音である。
(文/増當竜也)

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