【劇場特撮レビュー】多少の演出下手やバランスの悪さもなんのその! 気迫あふれる藤岡弘、が示す貫禄と男気たっぷりのライダー道!!

 本作の監督・金田治は70年代初頭からスタントマンをはじめ、やがてアクション監督、本編監督とキャリアを進めていった御仁ではあり、藤岡弘、らとともにヒーロー・アクションの道を歩んできたという点でも、本作に対する思い入れが深かったのかもしれないが、ただしこの監督、アクション・シーンはともかくとして、ドラマ演出の弱さに定評のあるベテランなのだ。

 たとえば日本に帰国した本郷猛が、立花藤兵衛の孫娘・麻由と再会し、遊園地でデート(?)するシーンがあるのだが、一体何を勘違いしたのか、ここでの藤岡弘、は“せがた三四郎”もどきにしか見えず、これを微笑ましいと思って演出しているとしたら大間違いで、ファンはそんなメロメロ親父の本郷猛など見たくはないのだ。

 観覧車ハプニングのエピソードも、そもそも猛を地上に残して麻由がひとりで乗っているのも不自然で、また一緒に乗っていたほうが、その後で彼女を抱えながら観覧車から飛び降りるといった見せ場なども作れたと思うと、実にもったいない。

 もったいないということでは、今回は悪の秘密結社ショッカーから独立したノバショッカーが登場するのだが、そのメンバーのひとりが元格闘家の武田幸三なのに、彼にアクションをほとんどやらせずに怪人に変身させてしまう措置には、本当にがっかり。

 ノバショッカーのリーダーを演じるイケメン阿部力もすぐに変身してしまうのだが、その怪人が不細工すぎて、怪人の造型などは人間キャラに応じたものにすべきだと常々思う身としては、これまた非常に不満が残る。

 さらにはもうひとりのメンバー、長澤奈央だけは変身させず、アクションの見せ場をサービスするというのも、実にバランスが悪い。

 アクション演出そのものにしても、今回は『仮面ライダーゴースト』の世界観の中でのお話にはなっているが、たとえばゴーストと仲間のスペクターらがともに闘っているとき、ゴーストのアクションばかり映されて、他が何をしているのかがよく見えないといった配慮のなさはいかがなものか。

 すっかり板についてきた大杉漣扮する地獄大使と本郷猛との、長年の因縁も「これでいいのか本郷猛?」と言いたくなるほど愕然とするオチが用意されており(粋なオチで良かったと言っている人もいるが、あんな内輪受け的なもの、少なくとも私は認めない。だってこれまでライダーとショッカーは、地球の運命をかけてマジ死闘を繰り広げてきたのだから)、かつて「イカでビール」とつぶやきながら、死神博士がイカデビルに変身するみたいな脱力ネタもあったが、どうも最近のライダー映画は真剣にやるべきところとギャグで済ますところのバランスが悪い。

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