『武装少女マキャヴェリズム』テンプレハーレムと思いきや武装少女とのバトルはスリリング! サービスシーンもいいぞ!!

 男子がひょんなことから女子ばかりの学校に入学する、というのはハーレムものの定石かも知れないが、『武装少女マキャヴェリズム』(原作:黒神遊夜 作画:神埼かるな/角川書店)の舞台となる「私立愛地共生学園」の生徒は、 “武装”している女子ばかり。数少ない男子生徒は、他校で暴力問題を起こしたりしている問題児ばかりだが、そんな男子生徒たちでさえ、無事に生き残るには、“去勢”され、女装を強いられるなど、男としての尊厳を捨て女として生きることしかない学園なのだった……。

 物語は、学園に転入することになった納村不動(のむら・ふどう)が、教室で女子たちに囲まれて武器を向けられているところから始まる。警棒程度の武装は女子全員に許可されているが、中でもそのトップに君臨して学園内を統制するのが、帯刀を許された5人の女剣士“天下五剣”。彼女らの剣さばきや戦闘能力には目を見張るものがあるが、さらにその上位に“女帝”と呼ばれる、素手ですべてを切り裂く女子生徒がいた。彼女は納村のことを何か知っているようだが……?

 納村は寮の同室になったマツ……もとい、マスコこと増子寺楠男から、五剣全員と学園長から印をもらうことができれば、外出許可証が手に入るということを聞いた納村。外出許可証が実際に使用された前例はないとマスコは言うが、とにかくやってみようと納村は五剣を相手にしながら印を集めていくことに。

 印を集めるには、要するに彼女らを味方につければ良いのだが、第一印象が最悪の上、事故とはいえ五剣の一人・鬼瓦輪にキスをしてしまった納村には至難の業。輪はキス事故から少しずつ納村への態度が緩くなってきているものの、他の五剣が黙ってはいない。日本刀やレイピア等の洋剣、竹刀などを使う彼女らの隙のない戦法に、納村は素手での必殺技“魔弾”で挑む。戦いに敗れた五剣の少女たちは、納村に対してのガードが多少甘くなるものの、「“武装少女”vs 素手」である。しかも一対多の戦いもあり、納村は常にギリギリの戦いに臨むことになる。

『武装少女マキャヴェリズム』に登場する女の子たちは、“女帝”はもちろんのこと、五剣たちも全員系統の違いはあるものの、美少女である。戦闘中にスカートの中を覗いたり、胸の谷間に挟まれた印を取らされそうになったり、男性読者へのサービスシーンは多い。ハーレムもののテンプレ的なツンデレ要素やお色気系アクシデントは当然アリで、それでいて戦闘相手が女子であることにも躊躇わずに、展開されているバトルシーンはどれもカッコいい。“女帝”vs“五剣”の女子同士の戦いでも迫力があり、バトルマンガ好きにも満足の出来栄えだ。

 納村に敗北を喫した少女たちが彼に対してデレていくのはお約束かも知れないが、新しい印をもらうために次々と新しい戦いが待っているという過酷な状況。そして“女帝”の秘密が徐々に明らかになっていく過程。納村は気付いてはいないが、かつて二人は対立したことがあったようなのだが──?! 五剣のうちのほとんどが納村に屈しかけた頃、その“女帝”がとうとう動き出す! 果たして少女たちの行く末は? そして納村はどうするのか? “魔弾”の秘密も含めて、徐々に動き始めた物語から、いよいよ目が離せなくなってきている。現在のところ4巻まで発売中だが、特に風呂場で裸の戦いをする第3巻は、いろんな意味で要チェックだ!
(文/桜木尚矢)

武装少女マキャヴェリズム (4) (カドカワコミックス・エース)

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