ゲームの女性キャラの“お尻の丸み”問題を指摘したフェミニスト団体が、ビデオゲーム批判動画を封印!? さらに歴史上の女性まで俎上に!

1603_feminist.jpg「Feminist Frequency」公式サイトより。

 ビデオゲーム業界にとって、近年最大の汚点であると認識されている“ゲーマーゲート問題”の中心的被害者の1人であるアニタ・サーキシアン氏が、現在のビデオゲーム内の女性表現を批判するビデオシリーズを今年いっぱいで終了させ、年内にも新たなフェミニズム問題を扱うビデオシリーズを、スタートさせる計画であることを発表している。

■最新動画の話題は女性キャラクターの“お尻問題”

 フェミニストのコミュニティ「Feminist Frequency」の主催者であるアニタ・サーキシアン氏は、2011年からビデオゲーム内の女性キャラクター表現を問題にした動画シリーズ「Tropes vs. Women」を、YouTube上に定期的に公開している。12年には本格的な動画制作を目指し、クラウンドファンディング「Kickstarter」で出資を募り、16万ドル(約1800万円)が集められ制作環境が整えられた。以後、「Tropes vs. Women」は今に続く、長い動画シリーズになっているのだが、12年に公開されたある回の動画の内容が、ビデオゲーム業界の批判をよしとしない勢力の攻撃の標的にされ、彼女に対してオンライン上でのハラスメントや“殺害予告”までが通告されて大きな騒ぎとなったのだ。この時期に欧米のビデオゲーム業界で起こっていた、“ゲーマーゲート問題”のひとつに数えられる一件にもなっている。

 そんな何かと話題の「Tropes vs. Women」だが、今年1月19日に公開された最新の動画が話題になっているのは、ビデオゲーム内キャラクターの“お尻”。『トゥームレイダー』や『バットマン アーカム・シティ』、『Remember Me』などに登場する主役、もしくは主役級の女性キャラクターの“お尻”がいかに丸みを帯びて強調されて描かれているのかを解説しているのだ。

「Tropes vs Women in Video Games」最新回 「feministfrequency」より

 一方で『アサシン クリード』や『プリンス・オブ・ペルシャ』など多くの男性キャラクターのお尻はどういうわけか、マントや長いコートで覆われているものが多いことを指摘している。もちろん『ウォッチドッグス』などのようにカジュアルファッションの作品も多いが、それでも男性のキャラクターの臀部が強調されることはないと主張している。

 しかし批判に終始するのではなく、例えば『ライフ イズ ストレンジ』では、女性主人公の臀部はあまり映らないアングルのシステムになっていたり、逆に『Beyond Good&Evil』のパッケージでは男性キャラクターの臀部が強調されたイラストが描かれていることなども紹介している。今回も興味深い指摘が開陳されることになったが、先頃、この「Tropes vs. Women」シリーズは今年いっぱいで終了することがアナウンスされた。かといって彼女にとってみれば、ビデオゲームの女性表現に関してまだまだ言いたいことはあるのだろうが、彼女のフェミニズム運動は次の段階へ進まなければならないということだ。

■歴史上の“普通で本物の女性”を特集する映像コンテンツを企画

 そしてフェミニストコミュニティ「Feminist Frequency」とアニタ・サーキシアン氏が、次に取り組む活動を紹介する動画が先頃アップされている。「Ordinary Women: Daring to Defy History」(世間に左右されない大胆で普通の女性)と銘打たれた新たな動画シリーズは、歴史上の“普通で本物の女性”を特集する映像コンテンツであるという。

「Ordinary Women: Daring to Defy History」紹介動画 「feministfrequency」より

「これまで私たちは、ビデオゲームに範囲を限定してジェンター表現を問題にしてきましたが、この“普通の女性”プロジェクトはさらに範囲を広げ、世の中の“女性観”にとらわれない活躍をした歴史上の女性たちに焦点をあてています」とサーキシアン氏は情報サイト「Polygon」の取材で語っている。

 動画で触れられているところでは、清朝の女海賊である鄭氏(チン・シー)をはじめ、アメリカの女性活動家の魁であるアイダ・B・ウェルス、歴史的なフェミニストであるエマ・ゴールドマン、19世紀イギリスの貴婦人で数学の天才であったエイダ・ラブレスに加えて日本の紫式部が、このプロジェクトで特集する“普通で本物の女性”として挙げられている。内容面でもアニメメーションなども使った本格的な人物列伝ドキュメンタリーであると紹介している。

 現在、この「Ordinary Women: Daring to Defy History」は映画資金調達クラウドファンディング「Seed & Spark」で制作資金を募っており、ゴールは20万ドル(約2200万円)に設定されている。出資の応募期間は4月7日までということだ。

 前回は“ゲーマーゲート問題”で不本意ではあるとは思うが、世間の注目を集めたのは確かで、Kickstarterでのファンディングは目標の6万ドルを大きく上回る16万ドルに達したが、はたして今回のファンディングはどうなるのかは今のところ未知数であるようだ。そしてもちろん、年内にあと7回アップされるという「Tropes vs. Women」シリーズ動画にも、引き続き注目が集まる。
(文/仲田しんじ)

【参考】

・Polygon
http://www.polygon.com/2016/3/9/11187036/feminist-frequency-ordinary-women-tropes-vs-women-in-video-games

・「Feminist Frequency」公式サイト
http://feministfrequency.com/

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