ピクサーの重鎮が語る! ピクサー展&『アーロと少年』を10倍楽しめる裏話

■1枚1時間で採用される2倍の量の絵を描く

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 このトークセッションで注目が高かったのは、CG製作におけるライティングの話だろう。キャラハン氏は、映画製作のさまざまな工程に関わっているが、彼女自身はライティングのスペシャリスト。「光のない絵に光を当てることによって、観客が視線を向ける方向を決めたり、セットの雰囲気や時間帯、気候など、絵の美しさを蘇らせたりすることができます。好きな言葉は『無秩序から秩序を生み出す』ですが、私がしていることのひとつがそれだと思っています」と口を開く。

 キャラハン氏は、美しい風景画を描く画家としても知られているが、この趣味についても、ライティングスキルの向上につながり、映画製作のときの、光の当て方の勉強になっていると話す。

 そうしたキャラハン氏の仕事のひとつが、ストーリーボードの絵をどう表現するか考えることだ。紹介されたのは、スポット【編注:『アーロと少年』に登場するキャラクター】が悲しんでいるシーン。「この絵を見たとき、夜のシーンで、悲しいシーンだということは分かっていたのですが、私は悲しいシーンは何でもグレーを使い、どんよりとした雰囲気にするのがベストだとは思っていません。だから、背景はキラキラさせました。あえて背景にキラキラしたものを持ってくることで、観客がより胸がチクッと痛むような効果を出す事ができるのです」とキャラハン氏。『アーロと少年』のワンシーンを例に、そのテクニックについて語ってくれた。

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 また、キャラハン氏はカラースクリプトについても言及。カラースクリプトとは、映画全体の流れを色と光で表し、映画の雰囲気を伝えるものだ。それを見れば、映画での色の使い方や、光の使い方が分かり、ストーリーの流れも見えてくるという。カラースクリプトは、採用される2倍の量を描かなくてはならないため、1枚描くのにかける時間は1時間くらいだそうだ。ピクサー展では、このカラースクリプトも、『トイ・ストーリー』から『アーロと少年』まで展示されている。それを見れば、作品のアートスタイルの流れも見て取れるそうなので、ピクサー展に足を運んだ際は、ぜひ作品毎の特徴を確かめてみてもらいたい。

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