自分の事故死から物語がはじまる異色のアドベンチャー『Fragments of Him』が話題に

■小説と映画とゲームを混ぜ合わせた新ジャンル

 主人公の死から物語がはじまるという斬新なアイディアは3年前のゲームジャムで生まれたということだ。ゲームジャムとは限られた時間の中で、その場でゲームの企画を考え、場合によっては制作までしてしまうイベントだが、その時のテーマは「ミニマリズム」だったという。ミニマリズムは美術・建築・音楽などの分野で使われる思想的な主義のことだが、現在ではそれをライフスタイルに適用させて、必要最限度のモノで暮らす生活を指す言葉にもなっている。

 このテーマのもとに、最初はパズルゲームを作ろうと構想を練っていたハギス氏だったが、ミニマリズムを実践する「ミニマリスト」のことに考えが及んだとき、「なぜモノが無い場所で暮らそうとするのか?」という、当然といえば当然の疑問が生じてきたという。そこでハギス氏なりに考えた結果、モノが備えている“思い出”に着目することになる。つまり身の回りのモノには、それぞれ過去の思い出が詰まっており、時には思い出したくない記憶もよみがえらせることがある。こうした“グッズ”の数々を、ミニマリストたちはなるべく持ちたくないと考えるのではないかということだ。

 逆に言うならば、いかにモノが記憶の再現力に優れているものであるかが思い知らされることになり、故人の遺品と身近にいた人々に残された記憶だけで物語を作ることを思いついたのが『Fragments of Him』のアイディアの萌芽であったという。作品中でも、ウィルの“遺品”の数々がゲームの進行に効果的な役割を果たしているのだ。

 以前に当サイトで紹介した小児がんの子どもを持った父親を追体験する『That Dragon, Cancer』や、国立公園の職員になって山火事防止に取り組む『Firewatch』など、小説と映画とゲームを混ぜ合わせたような作品が最近目立つようになっている。2013年の屋敷探索ゲーム『Gone Home』も“何も起らないゲーム”として大いに話題になった。この『Fragments of Him』がさらにこのジャンルの可能性を広げるものになるのかにも注目だ。
(文/仲田しんじ)

【参考】

・VICE
http://www.vice.com/read/fragments-of-him-is-an-interactive-reflection-on-loss-that-even-the-best-player-cant-make-happy-336

Gone Home (Mac/PC CD) (輸入版)

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“追体験”型ゲーム、今後も増えそうですね

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