自分の事故死から物語がはじまる異色のアドベンチャー『Fragments of Him』が話題に

1602_franments.jpg『Fragments of Him』公式サイトより。

 ビデオゲームでは、自分が操作しているキャラクターが死んでしまえばゲームオーバーになる。“ライフ”のストックがあれば即終了にはならないものの、とにかく死なないために全力を尽くさなければならないのがゲームの常だ。しかし驚くことなかれ、プレイ開始早々に主人公が死んでから話が進む物語形式のゲームがリリースを控えている。

■自分のいない世界を“ゴースト”になって見守る

 オランダを拠点に活動するインディーズデベロッパー、SassyBot Studioが年内のリリースを目指して鋭意開発中のタイトルが『Fragments of Him』だ。このゲームではなんと、プレイがはじまった途端に主人公の“ウィル”が交通事故で亡くなってしまうのだ。

『Fragments of Him』トレーラー 「Sassybot」より

 いきなり主人公が死んでしまって、では一体どのようにゲームが進行していくのか……? 若くして(20代半ば)不遇の死を遂げたウィルは“あの世”へ行くわけではなく、魂はまだこの地に残された状態であり、プレイヤーはいわば“ゴースト”のウィルを操作して、友人たちや最愛の祖母の部屋を訪れることで、物語が進んでいく。あくまでもゴーストであり、他人からはその存在を確認することはできず、できることも限られている。友人の行動に直接影響を及ぼすことはできず、ほとんどの場合が傍観者として物語に関わることになるということだ。

 物語の舞台は1990年代のイギリス・ウィンチェスターの街をモデルにしており、主人公のウィルはかつてウィンチェスター大学の卒業生で、在学時には学友で恋人の女性・サラと深い関係にあったという。卒業してからは別れることになったが、それでもまだ友人としての関係は続いていたという設定だ。ゲームではサラのほかに、親友でパートナーのゲイ男性であるハリー、祖母のマリーが重要人物として登場し、ゴーストとなったプレイヤーはこの3人を背後から見守り、ウィルを失った彼らの悲しみを共感するとともに、これまで知り得なかった彼らの素顔を垣間見ることになる。そして時にはウィルのほうから“メッセージ”を与えて彼らを導きつつ、この4人が関係する真実のドラマが明らかになってくるという内容のようだ。

 操作するのがゴーストとはいえ、ゲームシステム的にはファーストパーソンゲームなのだが、開発を担当するマタ・ハギス氏はあえてこの作品を“2人称ゲーム”であると定義している。ウィルのゴーストはFPSゲームのように主体的に行動することはできないからだ。したがって、ストーリーの分岐もそれほどなく、基本的にエンディングも1種類のようである。とすれば厳密な意味ではビデオゲームとは呼べないのかもしれないが……。

「これもゲームだと考えています。本作をプレイすることで、物語をベースにした感動体験を“観客”として味わってもらうゲームなのです」とハギス氏は「VICE」の取材に回答している。つまり映画のように完全に受身にはならず、ある程度インタラクティブに関わることができる“感動体験映像コンテンツ”なのだ。『Fragments of Him』がいったいどんな感動体験をもたらしてくれるのか期待したい。

Gone Home (Mac/PC CD) (輸入版)

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“追体験”型ゲーム、今後も増えそうですね

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